【競馬】天皇賞、3歳馬イスラボニータは歴戦の古馬に勝てるか? (2ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkan sports

 逆に1600メートル以上のGI勝ちや、2000メートル以上のGIIを勝った経験がありながら、4着以下に敗れたのは、99年のスティンガー(4着)、00年のイーグルカフェ(4着)、04年のダイワメジャー(17着)、05年のキングストレイル(16着)、12年のカレンブラックヒル(5着)の5頭。GI勝ちのないキングストレイルと、ノド鳴りを悪化させたダイワメジャーを除けばいずれも掲示板圏内に健闘している。

 また、99年はスペシャルウィーク、00年はテイエムオペラオー、12年はエイシンフラッシュが勝った(12年は同じ3歳でも、カレンブラックヒルよりも距離適性に勝るフェノーメノが2着に好走している)ときで、いずれも2000~2400メートルのGI勝ちをしている歴戦の古馬。翻(ひるがえ)って、今年はというと、イスラボニータ以外では、ジェンティルドンナとトーセンジョーダンしか該当馬がおらず、2頭ともに宝塚記念以来のぶっつけで、昨年も同じローテーションだったジェンティルドンナはジャスタウェイに千切られ、トーセンジョーダンはすでに8歳でピークを超えた感が強い。天皇賞・春を連覇しているフェノーメノや昨年度の菊花賞馬エピファネイアもおり、決して平均以下のメンバーではないが、スペシャルウィークやテイエムオペラオー級は不在で、タイプとしてもイスラボニータはカレンブラックヒルよりはフェノーメノに近いだけに、データ面では好走が約束されたようなものだ。

 レースを4日後に控えた29日早朝、美浦トレーニングセンターのウッドチップコースで追い切られたイスラボニータは、新コンビを組むクリストフ・ルメール騎手を初めて背に乗せ、豪快な動きを披露した。僚馬のトウカイチャーム(6歳500万下条件)を8馬身ほど先行させて追いかける形でスタート。3コーナーで徐々に加速を始め、ゴールまで残り200メートルのところでゴーサインが出ると、あっという間に僚馬を交わしてフィニッシュ。軽く仕掛けただけの最後の200メートルは推定12秒1で、この日の最速ラップとなった。

「ベリーハッピー!」

 イスラボニータとともに引き上げてきたルメール騎手は、待っていた栗田博憲調教師に開口一番、笑顔で感想を口にした。

「すごく乗りやすいし、馬が何をすべきか分かっている。走り方がディープインパクトにも似ている」

 ルメール騎手といえば、世界で唯一、ディープインパクトに2度先着したジョッキーだが、かつての好敵手を例にしてイスラボニータの動きを絶賛する。また、04年に2着となった3歳馬のダンスインザムードの手綱を取っていたのもルメール騎手だ。外国人騎手は過去5年で3勝を挙げている。戦い方を熟知しているのも、大きなアドバンテージだろう。

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