【競馬】ジャスタウェイの再現狙う、3頭のディープ産駒 (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

 ともあれ、今回いちばん魅力を感じるのは、3頭の中で唯一重賞勝ちのないスピルバーグだ。

 同馬は5歳でありながら、体質の弱さもあって、まだ12戦しかキャリアを積んでいない。いまだ成長過程にある。そのうえで、昨秋より体質が徐々に強化されると、下級クラスから一気に3連勝を飾った。それから夏を越して、4カ月半ぶりに臨んだ前走の毎日王冠(10月12日)でも、勝ち馬からコンマ1秒差の3着と好走。しかも、直線で進路が狭くなる不利を受けながらの結果ゆえ、「スムーズであれば……」と、先々に一層の期待を膨らませた。

前哨戦の毎日王冠で3着と好走したスピルバーグ。前哨戦の毎日王冠で3着と好走したスピルバーグ。 そもそもスピルバーグは、デビュー3戦目となった2012年のGIII共同通信杯(東京・芝1800m)で、のちの皐月賞馬ゴールドシップと、ダービー馬ディープブリランテに肉薄。2頭に負けはしたものの、僅差の3着と健闘している。その実績を考えれば、今回対戦するGI馬たちにも決してひけをとらないだろう。

 スピルバーグを管理するのは、藤沢和雄調教師。一時代を築いたトップトレーナーも、GI制覇は2006年から遠ざかっている。しかし藤沢調教師と言えば、これまでに自らの管理馬で天皇賞・秋を4勝もしている。また、3歳の有力馬を、同世代で競う菊花賞(京都・芝3000m)ではなく、古馬と争う天皇賞・秋にぶつけて、結果を出してきた先駆者でもある。近年のトレンドとなっているこのローテーションを作り出したのは、まさしく彼なのだ。

 そんな藤沢調教師が送り出すスピルバーグなら、天皇賞・秋の舞台で才能が花開いてもおかしくない。はたして、今年も古馬による“GI初制覇”が成し遂げられるのか、注目である。

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