【競馬】菊花賞は距離延長に利があるサウンズオブアース

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 3歳牡馬クラシックの最終戦、菊花賞(京都・芝3000m)が10月26日に開催されます。

 菊花賞が行なわれる舞台は、京都の外回り芝3000m。スタートしてすぐに3コーナーがあって、しかもそこから急な坂を下って4コーナーに向かいます。直線に入ると、大観衆が見守る正面スタンド前。例年、そこで引っかかっている馬を見るように、折り合いをつけるのがとにかく大変なコースです。

 菊花賞では、その"折り合い"こそ、重要なカギを握っています。昨年も、勝ったエピファネイアはスタート直後、すぐに内に入って3番手につけました。最初の下り坂ではやや行きたがる素振りを見せましたが、そこで鞍上の福永祐一騎手がじっと我慢して耐え抜いたところ、馬も落ち着いたようでした。スムーズさを欠いて体力を消耗しなければ、最後は必ず力を発揮できる馬。この時点で、勝負は決したようなものでしたね。長距離戦では、それほど"折り合い"が大事です。

 その点、春の既成勢力である有力馬2頭、ワンアンドオンリー(牡3歳)とトゥザワールド(牡3歳)には、折り合いの心配がないのが心強いですね。その分、ともにこの長距離戦は願ってもないレースだと思います。

 そのうち、まず注目すべきは、1番人気が予想されるダービー馬ワンアンドオンリー。過去を振り返ると、ダービーの上位入線馬がトライアルの神戸新聞杯を勝つと、本番の菊花賞でも勝つ確率が高いようですね。おかげで、より注目度が増しています。とはいえ、ワンアンドオンリーはそうした過程で勝ってきた過去の馬たちとは少しタイプが違うように思います。

 昨年の勝ち馬エピファネイアや、一昨年の菊花賞馬ゴールドシップは、上位人気で挑んだ新馬戦を快勝。その後もすぐに勝利を飾るような、もともと力のある馬でした。一方、ワンアンドオンリーは、新馬戦で10番人気。結果も12着でした。初勝利を挙げるまでに3戦を要しました。それこそ、徐々に進歩してきた結果、今があるのです。

 特に、横山典弘騎手が手綱をとるようになってからは、一戦一戦、課題をクリア。少しずつ成長を遂げて、その成果が日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)で出たのだと思っています。ゆえに、デビュー戦から素質を見せていた過去の勝ち馬たちとは少し違うと思うわけです。

 だからといって、ワンアンドオンリーが勝てない、というわけではありません。前哨戦の神戸新聞杯(9月28日/阪神・芝2400m)も、着差こそわずか(頭差)でしたが、ものすごく強い競馬を披露。ダービーの頃にはまだまだ若さも出ていましたが、さらなる成長がうかがえました。いまだ進化を続けていて、これから本格化を迎えるといった状態にあります。そういう意味では、今までの勝ち馬以上に、期待が膨らみます。

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