【競馬】セントウルS、狙いはハナを奪える「快速馬」

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 夏の北海道シリーズが終了。地方から中央開催に移って、いよいよ秋競馬に突入していきます。ただ、関東圏の競馬は中山競馬場が改修工事のため、新潟競馬場で代替開催。何となく、夏競馬の"延長戦"のような感じがしますね。

 実際、夏恒例の『サマーシリーズ』(※)は、9月14日に東西で最終戦(京成杯AH/新潟・芝1600m。セントウルS/阪神・芝1200m)が開催されます。そこで、サマーマイル、サマースプリント、サマージョッキーズシリーズのチャンピオンが決まります。

※夏競馬を盛り上げるために2006年から行なわれている重賞のシリーズ戦。6月~9月に開催される指定重賞での成績をポイント化し、その総合得点を競うもの。芝のスプリント戦(1000m~1200m)を対象にしたものが『サマースプリントシリーズ』、芝1600m戦を対象にしたものが『サマーマイルシリーズ』、芝2000m戦を対象にしたものが『サマー2000シリーズ』。そして、それらすべてのレースを対象にしたものが『サマージョッキーズシリーズ』。

 東西それぞれ注目の重賞ですが、今回は秋のGI戦線の開幕戦となるスプリンターズS(10月5日/新潟・芝1200m)の前哨戦、セントウルSを取り上げたいと思います。

 昨年はハクサンムーン(牡5歳。当時4歳)が、絶対的な存在だったロードカナロアを撃破しました。そして同馬は、本番のスプリンターズS(2着。2013年9月29日/中山・芝1200m)でも「あわや」というシーンを演じて、勝ったロードカナロアに肉薄。ゆえに、ロードカナロア引退後は、ハクサンムーンがスプリント路線を牽引していく存在になると思っていましたが、この春はハクサンムーンらしさがまったく見られませんでした。

 とはいえ、オーシャンS(13着。3月8日/中山・芝1200m)は、昨年も9着と敗れたレースで、ある意味想定内の敗戦でした。続く高松宮記念(5着。3月30日/中京・芝1200m)も、不良馬場という今までに経験のない競馬での結果。そういう意味では、復帰戦となる今回は注意が必要です。

 ハクサンムーンの鞍上と言えば、同馬のバディとしてすっかり認知されている酒井学騎手でした。それが今回は、JRA移籍2年目にして全国リーディングトップを走る戸崎圭太騎手が手綱をとります。本番のスプリンターズSでも、継続して戸崎騎手が騎乗するようですね。

 振り返れば、前走の高松宮記念では、たまたま出遅れてしまったとはいえ、控える競馬で後方から差してくることができました。この結果は、新たな可能性を示すもので、レースの幅の広がりを感じさせました。そもそもハクサンムーンは、二の足は速い馬ですが、一完歩目は決して速くありません。もし好位からの差す競馬ができるようになれば、逃げ一辺倒の競馬から脱却し、不安要素が少なくなります。そうした意図もあって、戸崎騎手に乗り替わるのかもしれません。

 とすれば、今回も本番を見据えて、再び逃げない競馬をするのではないでしょうか。結果が出れば、一層自信を深められますし、たとえ失敗しても、本番では本来のハナを切るスタイルに戻せばいいだけですからね。何にしても、セントウルSではどれだけ折り合った競馬ができるのか、注視したいと思います。

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