【競馬】札幌記念ワンツー、悲願の凱旋門賞制覇へ視界よし! (3ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • 千葉 茂●写真 photo by Chiba Shigeru

 ふと思い出したのが、昨年の凱旋門賞でトレヴが見せたレースぶりだ。後方に位置どった3歳牝馬は、凱旋門賞ではタブーとされる最終コーナー手前の「フォルスストレート」で仕掛け、キズナを引き連れて直線入り口で堂々と抜け出して、1番人気に支持されたオルフェーヴル以下を完封した。もちろん、国も違えば、競馬場も違うし、距離も異なるので一概に同質だとは言えないが、しかし、それまではどちらかといえば、鋭い末脚を武器にしてきた3歳牝馬という共通項もある故に、昨年のトレヴの再現を期待してしまうのは大げさではないはずだ。

 一方のゴールドシップも、条件的には有利と見られながら、2着に敗れたものの、横山騎手、須貝調教師ともに「最後は斤量(5kg)差だね」とサバサバした表情で語り、悲観の色を見せていなかった。前半こそ見ている側としては気が気でない内容だったが、終わってみれば3着のホエールキャプチャには5馬身差をつけてのフィニッシュだった。本番もゴールドシップ59.5kgに対しハープスターは54.5kgと斤量差は同じ。このディスアドバンテージがレースでどのように出るかが今回の一戦で計れたことで、むしろ課題がより明確となったといえるだろう。

 もちろん本番はこの2頭だけでやるものではない。ヨーロッパでは3歳世代が牡牝ともにいつになく活(い)きがいい。加えて前述のトレヴも連覇に向けて意欲を見せている。

 だが、「世界ランク1位」ジャスタウェイも加えた日本の三本の矢は、これまでのどの年よりも強力な布陣。気がつけば本番まで6週間を切った。ジャパントリオの悲願のシナリオはもう始まっている。

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