【競馬】デビュー間近。怪物・オルフェの弟は「本物」か (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

 なお、兄オルフェーヴルといえば荒々しい気性も印象的だった。レース後に騎手を振り落としたデビュー戦や菊花賞、コースを大きく逸走しながらも2着に追い込んだ阪神大賞典などは語り草となっている。しかしアッシュゴールドには、「特にそういう部分は感じませんでした」と青田氏。育成もいたって順調で、トラブルなくスケジュールどおりに進んだという。

 実際、アッシュゴールドは、今年3月の時点で早くも社台ファームの前線基地・山元トレーニングセンター(宮城県)に移動。デビューに向けて次の段階へと入った。

「山元トレセンでも評判はよく、いい手応えだったようです」(青田氏)との言葉どおり、こちらでも滞りなくトレーニングを積んだ模様。5月21日には、いよいよ栗東の池江厩舎に入厩。6月13日にはゲート試験もすんなり合格した。

 デビュー前の馬となれば、まだ成長途上であり、調整も思いどおりに進まないことが多い。その中でアッシュゴールドは、ほぼ青写真どおりに階段を上ってきた。青田氏もその部分にこの馬の可能性を感じている。

「やはりこれだけの馬ですから、自分たちのもとからきちんと送り出すことができてホッとしています。デビュー前の時期を順調に過ごせた馬は、走ってくるケースが多いですからね。今は、『どんな走りをするんだろう』という気持ちでデビュー戦を待っています」

 初陣に向けて、調整が進むアッシュゴールド。7月3日の調教では、坂路4ハロン(800m)を53秒6、最後の1ハロンを12秒6という好タイムをマーク。池江調教師も「時計は早くなってきており、良化している」とコメントした。デビュー戦に向けて、態勢は整いつつあるようだ。

 三冠馬となった兄オルフェーヴルは、どんな距離、どんなレースにも対応できる万能な馬だった。同様の資質があると見込まれているアッシュゴールドは、はたしてどんなタイプなのか。まずは、そのデビュー戦の走りに注目したい。

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