【競馬】打倒キズナの一番手は、怪物オルフェの「同級生」

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • JRA●写真

 5月4日に行なわれるGI天皇賞・春(京都・芝3200m)。「春の盾」と呼ばれる伝統の一戦において、今年その主役を務めるのは、昨年のダービー馬である4歳のキズナ(父ディープインパクト)だ。前哨戦の大阪杯(4月6日/阪神・芝2000m)を圧巻の末脚で制した同馬は、昨年よりさらにパワーアップした印象。優勝からもっとも近い位置にいることは間違いない。

日経賞を快勝し、完全復活を果たしたウインバリアシオン。日経賞を快勝し、完全復活を果たしたウインバリアシオン。 ただし、そのキズナに「待った」をかける強敵もそろった。「打倒キズナ」として浮かび上がるのは、5、6歳世代の実力馬3頭だ。

 5歳世代でもっとも有力なのは、GI4勝のゴールドシップ(父ステイゴールド)だろう。昨年後半は不調にあえいだが、前走の阪神大賞典(3月23日/阪神・芝3000m)では、2番手から一気に突き放す競馬で圧勝。レース中は行きたがるほどの前向きさを見せ、直線ではかつてない反応の良さを披露した。ブリンカーの着用や、調教の騎乗者を頻繁に替えるなど、陣営が行なってきた「ゴールドシップのやる気を引き出す工夫」が結実したと言える。

 天皇賞・春では、前走でコンビを組んだ岩田康誠騎手からウィリアムズ騎手に再び乗り変わりとなる。同じ騎手が乗り続けると、徐々にズルさを見せて動かなくなるゴールドシップ。それだけに、この乗り替わりもマイナス材料とは言い切れないだろう。キズナと戦う態勢は整った。

 もう一頭、5歳世代で忘れてはいけないのが、昨年の覇者フェノーメノ(父ステイゴールド)。前走の日経賞(3月29日/中山・芝2500m)は5着に敗れたものの、9カ月の休み明けだった。良化してくるのは間違いなく、状態や展開次第では連覇を達成してもおかしくない。

 これら2頭の5歳馬も強力だが、「打倒キズナ」の筆頭格と思われるのは、6歳のウインバリアシオン(父ハーツクライ)だ。

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