【競馬】蛯名騎手が語る「激変イスラボニータに勝機あり」

  • 新山藍朗●構成 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

ドラマチック春競馬(11)
「3強物語」イスラボニータ編

激戦の皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)。関東のトップジョッキー蛯名正義騎手は、「3強」の一角を担うイスラボニータ(牡3歳)で挑む。これまでGI19勝の蛯名騎手だが、春の牡馬クラシック(皐月賞、ダービー)には不思議と縁がない(牡馬クラシックの勝利は1回。2001年の菊花賞、マンハッタンカフェ)。そしてまた、愛馬イスラボニータの父フジキセキも、その産駒がクラシックを勝ったことがない。はたして、人、馬ともに悲願達成はなるのか。蛯名騎手がクラシック制覇への意気込みを語る――。

昨年の東スポ杯に続いて、重賞の共同通信杯を制したイスラボニータ(右)。昨年の東スポ杯に続いて、重賞の共同通信杯を制したイスラボニータ(右)。 牡馬クラシック第1弾の皐月賞が間近に迫ってきた。

 今年、僕はイスラボニータ(牡3歳)で挑む。有力馬の一頭とされる馬で皐月賞に参加できることは、騎手としてとても光栄なことだと思っている。それに、今年の3歳牡馬戦線は「混戦」と言われているから、その分チャンスがあるわけで、気合いも入る。ファンの皆さんにとっても、僕らジョッキーにとっても、今年の皐月賞は本当に楽しみな一戦になった。

 イスラボニータは、ここまで5戦4勝(2着1回)。4勝のうち、東京スポーツ杯2歳S(以下、東スポ杯。2013年11月16日/東京・芝1800m)と共同通信杯(2月24日/東京・芝1800m)、ふたつの重賞勝ちがある。実績的には、最上位の一頭と言っていいだろう。

 この馬の素質は、デビュー戦(2013年6月2日/東京・芝1600m)を勝ったときから感じていたけど、改めて「走るな」と感じたのは、2戦目の新潟2歳S(2013年8月25日/新潟・芝1600m)のとき。今では「牡馬の有力馬イスラボニータを3馬身もちぎった」と、牝馬ハープスター(3歳)の強さの証明のように言われるレースだけど、こっちも出遅れて、折り合いを欠いていた。しかも、馬込みの中でずっと窮屈な競馬を強いられた。それでいて、ハープスター以外の馬には負けなかったわけだから。確かにハープスターは強いけれども、そんなに(イスラボニータとの)差はないと思っているし、あの内容で2着という結果を出したことで、イスラボニータは走る、と確信した。

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