【競馬】川田将雅が明言「トゥザワールドは勝たなければいけない馬」 (2ページ目)

  • 新山藍朗●構成 text by Niiyama Airo
  • JRA●写真

――一見、辛勝に見えたものの、本番(皐月賞)前のトライアルとしては、十分に意味があったということですね。

「これまでトゥザワールドは、楽なレースばかりして勝ってきていましたから、皐月賞前には一度、きつい競馬をさせて、目一杯走らせなければいけないな、と思っていたんです。それが、弥生賞でできましたからね。他にも、いろいろと得るものがあったし、ハナ差とはいえ、結果を出すこともできました。トライアルが本番に向けて何を得るか、というレースだとすれば、非常に意味のあるレースだったと思いますね」

――巷では、川田騎手は「競り合いに強い」と言われています。弥生賞でも、その特徴が出たように見えました。

「『負けたくない』という思いは、他の人より強いとは思いますけど、競ったら強いかどうか、というのはどうなんでしょう(笑)。もしそうなら、阪神ジュベナイルフィリーズ(2013年12月8日/阪神・芝1600m)で負けてなかったと思いますよ(1番人気ハープスターに騎乗してハナ差2着)」

――ところで、トゥザワールドがいずれクラシックを狙える器だと意識したのは、いつ頃でしょうか。

「これだけの血統馬(名牝トゥザヴィクトリーの子。父はキングカメハメハ)で、デビュー前からいい動きをしていました。だから、当時からいずれクラシックに乗る馬、というより、乗っていなければいけない馬だと思っていました」

――しかしデビュー戦では、勝ったバンドワゴン(牡3歳)から6馬身も離された2着。あのとき、期待がしぼんだということはなかったですか。

「確かにデビュー戦では(勝ち馬に)ちぎられましたね(笑)。でも、バンドワゴンも強い馬ですから、1回の負けで大きなショックを受けることはありませんでした。また、あのレースでは、僕は(福永)祐一さんの馬(ドラゴンストリート=5着)ばかり意識していて、『この馬にさえ勝てば、このレースは負けない』と思っていたんです。道中も、直線を向いてからも、ずっとそうやって意識してしまって......。そうしたら、実はそのはるか先にバンドワゴンがいた、という感じでした(笑)。

 だからといって、トゥザワールドはその新馬戦ひとつだけ勝てばいい、というレベルの馬ではありませんからね。無理をして、バンドワゴンを負かしにいこうとは思いませんでした。結果として負けたことは残念でしたが、あの時点で優先すべきは、勝ち負けよりも、いい内容のレースをして、無事に(ゴールして)戻ってくることでした。その点では、内容のある新馬戦だったと思います」

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