【競馬】3歳クラシックを占う。今春の「隠しテーマ」は何か? (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • photo by Nikkan sports

   大本命のいる牝馬に比べると、今春の牡馬クラシック(皐月賞→ダービー)は大混戦だ。年明けの主要なステップレースの勝ち馬はすべて異なる。きさらぎ賞(2月9日/京都・芝1800m)のトーセンスターダム(牡3歳)、共同通信杯(2月24日/東京・芝1800m)のイスラボニータ(牡3歳)、弥生賞(3月9日/中山・芝2000m)のトゥザワールド(牡3歳)、スプリングS(3月23日/中山・芝1800m)のロサギガンティア(牡3歳)。それら群雄がまさに割拠する"戦国模様"なのだ。

 こういう年は、どうしても勝ち馬に目が向きがちになる。しかし考えてみれば、圧倒的な存在がいないということは、連勝の確率も低い。つまり、勝ち馬同士の1、2着といった決着は、意外に少ないのである。

 ならば、牡馬クラシックでは、前哨戦で2、3着に敗れたとはいえ、可能性を秘めたレースぶりを見せた馬にもしっかりと注意を払いたい。さらに大事なことは、それぞれのステップレースの、レベルの評価を誤らないこと。終わってみれば、「前哨戦の○○組が上位独占」というケースが結構多いからだ。

 さて、3歳クラシックに比べると、古馬戦線はやや地味な印象がある。特に今年は、ジェンティルドンナをはじめ、ジャスタウェイ(牡5歳)やエピファネイア(牡4歳)など、主役となる面々が大挙して海外遠征を敢行。春のメインレースとも言える天皇賞・春に、現在の古馬一線級が顔をそろえないのは、残念でならない。

 それでも、ゴールドシップ(牡5歳)、フェノーメノ(牡5歳)、そしてキズナ(牡4歳)など、オルフェーヴル引退後の「王座」を狙う歴戦のGI馬たちが参戦。真の実力が問われる「淀の3200m」の舞台を制し、日本の頂点に君臨するのはどの馬か、必見だ。

 以上が今年の春競馬の大まかな見取り図となるが、その他、3歳混合、古馬牝馬、3歳以上混合と、各カテゴリーで行なわれる東京マイル(1600m)のGI戦、NHKマイルC、ヴィクトリアマイル、安田記念も、それぞれ激戦で注目される。

 ともあれ、古馬のビッグレースが多い秋競馬に比べて、春競馬は3歳若駒によるクラシックが最大の見どころ。そして、各々のレースはもちろんのこと、桜花賞からオークス、皐月賞からダービーといった過程で生まれる"ドラマ"にファンは酔いしれる。怒涛の快進撃なのか、はたまた奇跡の復活劇や逆転劇なのか、名馬の「物語」を紡ぐ"ドラマ"もまた、クラシックでは見逃せない要素だ。

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