【競馬】マイルCS、人気薄の前年覇者サダムパテックは軽視禁物

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 11月17日に開催されるGIは、秋の"マイル王"を決めるマイルCS(京都・芝1600m)です。

「春のマイル王決定戦」の安田記念は、最後の直線が長く、坂のある東京競馬場で行なわれます。タフなコース設定のため、短距離馬にとっては厳しいレースになることが多いです。片や、京都のマイル戦は、3コーナー過ぎの下り坂で加速することができて、直線に坂がないため、勢いで流れ込むことができます。ゆえに、比較的短距離馬でも好走しやすく、これまでも中山・芝1200m戦のスプリンターズS組や、京都・芝1400m戦のスワンS組の活躍が目立っています。

 一方で、天皇賞・秋(東京・芝2000)や、3歳牝馬の秋華賞(京都・芝2000m)、古馬牝馬の府中牝馬S(東京・芝1800m)などの中距離路線からの参戦馬も多く、彼らもまた好成績を収めています。おそらくマイルCSは、出走馬の臨戦過程が最も複雑で、多彩な顔ぶれがそろうGIと言えるのではないでしょうか。そのうえ、結果を出す馬の路線もさまざま。おかげで、毎年「難しい......」と頭を悩ますことが多いレースですね。

 そして今年も、天皇賞・秋(10月27日)組はいないものの、前哨戦のスワンS(10月26日)組や富士S(10月19日/東京・芝1600m)組をはじめ、スプリンターズS(9月29日)組に、府中牝馬S(10月14日)組、そして毎日王冠(10月6日/東京・芝1800m)組など、バラエティーに富んだ面々がそろいました。さらに、京都大賞典(10月6日/京都・芝2400m)からも、天皇賞・春(4月28日/京都・芝3200m)の2着馬トーセンラー(牡5歳)が参戦。例年以上に色とりどりのメンバー構成になり、一段と"難しい"レースになったように思います。

 その中で、まず注目しているのは、昨年のマイルCS(6着)以降、一貫して芝のマイル戦を使っているダノンシャーク(牡5歳)です。今年の初めには、マイルCSと同じ舞台の京都金杯(1月5日)を快勝。その後も、マイル戦の重賞(4戦)だけに出走し、すべてのレースで3着以内と安定した成績を残しています。

 前走の富士Sでは、京都金杯以来の勝利を飾りました。以前は見られた若さが抜けて、ジョッキーの指示にも従順になっていましたね。いつでも能力を出し切れる雰囲気をかもし出していて、いよいよ本格化を迎えたように思いました。今や、GIタイトルも手に届くところまで来ているのではないでしょうか。

 鞍上は、全6勝中3勝を挙げている福永祐一騎手に戻ります。この秋、GI2勝(菊花賞、天皇賞・秋)と乗りに乗っていますし、この手替わりはプラスだと思います。

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