【競馬】ダービー制覇へ、エピファネイアが背負う「家族の思い」

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

皐月賞では惜しくも2着に終わったエピファネイア。最高峰の舞台で頂点を目指す。皐月賞では惜しくも2着に終わったエピファネイア。最高峰の舞台で頂点を目指す。東京優駿「3強物語」(1)
エピファネイア編

「家族のために挑む」という言葉がサラブレッドに通用するならば、今年の日本ダービー(5月26日/東京・芝2400m)において、その決意を胸に秘めているのは、エピファネイアではないだろうか。

 エピファネイアの母は、2005年に日米2カ国のオークス制覇という偉業を成し遂げたシーザリオ。ケガにより、3歳夏のアメリカンオークスを最後に引退したものの、わずか6戦で見せたパフォーマンスは、史上最強牝馬の可能性さえ感じさせるものだった。

 引退後、繁殖牝馬として第2の人生を歩み始めた彼女が、2010年に産んだのがエピファネイアである。シーザリオは、第3子にして早くも日本ダービーの有力候補を送り込んできたのだ。

 だが、エピファネイアが誕生するまでの母シーザリオの歴史は、決して順風満帆ではなかった。それまでに産んだ2頭の子は、苦難と悲しみに埋め尽くされていたからだ。エピファネイアは、まさにその兄と姉の思いを胸にして走ることになる。

 シーザリオが初めて産んだ子は、2007年産の牡馬トゥエルフスナイトだった。その翌年に産んだ牝馬がヴァイオラである。2頭の父は、ともにキングカメハメハ。オークス馬とダービー馬を両親に持つ、屈指の良血だった。

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