【競馬】福永騎手が語る皐月賞。エピファネイアの確固たる勝算 (2ページ目)

  • 新山藍朗●取材・文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

――ということは、皐月賞に向けて、弥生賞の結果は悲観材料にはならないということでしょうか。

「大事なのは、弥生賞の結果を踏まえて、そこから本番までにどう修正していくかということ。それは、十分に可能ですから、悲観する必要はありません。幸い、レース後のダメージも見られなかったそうですし、あの一戦だけで評価を変えることもないと思いますよ」

――話は遡(さかのぼ)りますが、エピファネイアはデビュー戦(2012年10月21日/京都・芝1800m)で、いきなり後方一気の衝撃的な勝ち方をしました。福永騎手自身、レース前から手応えを感じていたのでしょうか。

「正直、レースで走る前は、ここまで強いとは思っていなかったんですよ。調教の動きが、取り立てて良かったわけでもないですからね。それが、返し馬で芝コースに入った途端、いい動きを見せて、いざレースに向かったら、あの勝ちっぷり。あれには、驚かされました。特に、直線に入って追い出してからの、加速していく感覚が普通ではなかった。それで、この馬はすごいな、と思いました。馬体もよく、お尻にインパクトがある。レースを1回使ったあと、2戦目からはさらによくなりましたね」

――確かにエピファネイアは、直線で追い出してからの脚に迫力があります。

「そう。追ってからの脚が、この馬のいちばんの魅力ですね。他の馬とは、搭載しているエンジンが違う、という感じがします」

――エピファネイアの母は、福永騎手が主戦を務めて日米のオークスを制した名牝シーザリオ。その偉大なる母と似ているところはありますか。

「シーザリオも気性の激しい馬でしたからね、その点はよく似ています。それと、そもそもシーザリオは牝馬らしくなくて、レースでは牡馬のような走りを見せていたのですが、追い出してからの迫力なども似ているような気がします」

――かつての愛馬であるシーザリオの子で、皐月賞に挑戦。福永騎手とこの血統との深い縁を感じます。

「実は、この母子との関係では面白い話があります。シーザリオの成績は、アメリカのレースを含めて6戦5勝で、唯一負けたのが桜花賞。このとき、自分はラインクラフト(1着)に乗っていたので、シーザリオには別の騎手が乗っていました。エピファネイアも、自分が騎乗できなかった前走の弥生賞が唯一の敗戦。つまり、シーザリオとエピファネイアの母子の、自分自身の騎乗成績は8戦8勝で、1回も負けたことがないんです。この無敗記録を、皐月賞でもぜひ続けたいと思いますね」

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