渋野日向子の現在地 4年前に優勝した全英女子へ、状態は「上り調子の感覚はある」 (2ページ目)

  • 武川玲子●取材・文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 左手親指への負担を抑える同グリップは、アメリカに戻ってからも継続。そのままKPMG全米女子プロ選手権(6月22日~25日/ニュージャージー州)に挑んだが、予選通過はならなかった。

 また、その直後の名門ペブルビーチ・ゴルフリンクスで開催された全米女子オープン(7月6日~9日/カリフォルニア州)では、従来の"インターロッキンググリップ"に戻して戦ったが、再び予選落ち。続くDanaオープン(7月13日~16日/オハイオ州)でも初日から出遅れて、日本ツアーの2戦を含めて5大会連続の予選落ちとなった。

 試行錯誤が続くなか、渋野が行きついたところは、彼女曰く「痛みを利用すること」。要するに、ケガをした要因が「今まで、(クラブを)力んで、力んで握りすぎていたから痛くなった」という悪循環に気づいて、「(グリップに頼ることなく)もっと体を使ったスイングに取り組むこと」を目指すようになったという。

 それによって、これまでのトップの位置を高くする、といったことも意識しなくなった。そして、この試みはすぐに結果にも現れた。

 今季メジャー4戦目のエビアン選手権(7月27日~30日/フランス)で6大会ぶりの予選通過。最終順位は59位タイだったが、何より痛みなくプレーできたことは収穫だった。

 そうして迎えたスコットランド女子オープン。渋野は圧巻のプレーを披露した。風が弱かったとはいえ、初日は8バーディー、ノーボギーの「64」という好スコアをマークした。

 とにかくショットが絶好調だった。ボールがことごとくピンに絡んで、「お先に」で決めたバーディーの連続だった。単独首位に立って、「ちょっと、びっくりした」と渋野自身も驚きを口にした。

 快進撃は2日目も続いた。5バーディー、1ボギーの「68」。2位に2打差をつけて、首位の座をキープした。

 ただ、決勝ラウンドに入ると、パッティングに微妙な変化が見られた。「打ちきれないところが多々あった」と渋野。3日目は終盤に大きくスコアを落として、トップと6打差の6位タイに後退した。

 巻き返しを狙った最終日も、序盤で3連続ボギー。その後、イーグルやバーディーを奪って粘りを見せたが、スコアを伸ばせずに16位タイでフィニッシュした。

「突然きたチャンスを、自分でボロボロにしたのはショックだった......」

 ラウンド後、渋野はそう振り返った。

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