ゴルフ・蟬川泰果は日本男子ツアーの救世主となるか。超攻撃的スタイルに「ギャラリーは凄いプレーを見に来てくれている」 (3ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Sankei Visual

 いわばメジャーで戦え、勝ち抜ける"新しい風景"を最初に選手たちに染み込ませて、そこから(新しい風景を得るために)足りない部分、何をすべきかといったことを懇切丁寧に指導するスタイルだ。その結果、選手たちは未知の"新しい風景"がイメージできているから、こういう技量、プレーができなければ勝てないという考え方が鮮明になる。

 蟬川が日本オープンでやってのけたことが、その典型的な成功例だった。

 以降、プロに転向し、これまでの東北福祉大ゴルフ部、ナショナルチームのメンバーという立場ではなくなった蟬川。今後はひとりのプロとして、その将来性は大いに期待できる。海外挑戦といった視野も広がっているはずだ。

「(ナショナルチームに入って)気持ちの部分だったり、レベルが格段に上がっているんですけど、一番(の成長)は考え方じゃないですかね。18ホールに向き合う姿勢っていうのが、『誰にも負けたくない』という気持ちが芽生えてきて。もともと気持ちでプレーするタイプなんですけど、本当にプロの人たちにも負けないぐらいの気持ちの強さが、この一年でついたかなと思います。

(プロになって目標は)4大メジャーを制覇することですね。マスターズ、全米オープン、全米プロ、全英オープン、その4つを制覇することが、僕の夢です。小学校4年生、5年生の頃からその夢を叶えたいと思っていて、小学校5年生の時にテレビの取材を受けたんですけど、(それ以降はその夢を)口に出したり、書いたりしています」

 蟬川の夢はどんどん広がる。しかし彼は、30歳までは日本中心で自らを育むと言っている。

「僕が小さい頃、ギャラリーとして(石川)遼くんだったり、松山(英樹)さんだったり、藤田(寛之)さんだったり、いろんな有名選手を見てきた。その当時は、今のギャラリーの倍ぐらいの人数がいて、そういう日本ツアーをずっと見てきたので、僕が日本ツアーで活躍することによって、そういったファンをまた増やしていきたいし、そういうファンのみなさんは僕のファンにもなってくれると思う。(海外に行くのは)それからでも、ぜんぜん遅くないと考えています。

 もちろん、それまでにスポットで海外挑戦はします。30歳までにすべての面で、海外で戦い抜けるという自分を身につけたいと思っています」

 2023年――日本ツアー、海外での躍動が期待される蟬川から目が離せない。

蟬川泰果(せみかわ・たいが)
2001年1月11日生まれ。兵庫県出身。身長175cm。血液型A。東北福祉大在学中。2022年シーズン、アマチュアながらパナソニックオープン優勝。さらに、日本オープンでも95年ぶり2人目となるアマチュア優勝を飾った。その後、プロに転向。2023年シーズンではその活躍が一段と期待されている。

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