「ボールがどこに飛んでいくのかわからない」堀琴音を突如襲った不振の苦悩 (4ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Image

――少し遡って、お話をうかがえればと思うのですが、2018年シーズンにシード落ちしてしまった原因はどこにあったのでしょうか。

「シーズンを迎える前のオフ、少しでも遠くへ飛ばして、スコアアップにつなげたいという思いから、トレーニング量を増やして筋力アップに取り組みました。もっといい成績を出したい、という気持ちが強かったからです。

 でも、それがよくなかったのか、ショットが真っ直ぐ飛ばなくなってしまったんです。どこに飛んでいくのか、まったくわからなくなってしまって......」

――その頃は、かなりつらい思いをされたのではないでしょうか。

「それはもう......。周りの人の声は聞けなくなっていました。『ボールが曲がる人の気持ちなんか、わからないでしょ!」といった感じで......。ひとりでふさぎ込んでしまっているというか......」

――とても苦しい状況だったと思うのですが、それを耐えられたのはなぜでしょうか。

「(ゴルフを)やめたい、と思ったこともありました。でも、みんなに(自分のことを)このまま忘れてほしくない、という気持ちがあった。その気持ちのほうが勝ったんです。本当にそれだけ。

 いくら調子が悪くても、どれだけボールが曲がっても、練習している自分がいました。クラブを握らなかった日はなかったです。(自らの状態が)どんなに悪くなっても、(自分は)『ゴルフが好きだ』と思っていました」

(つづく)後編はこちら>>

堀琴音(ほり・ことね)
1996年3月3日生まれ。徳島県出身。身長163cm。A型。2015年シーズンにツアー本格参戦を果たし、1年目からシード権を獲得。ツアーを背負って立つ"大器"として期待される存在だったが、2018年シーズンを迎えて突如の不振に陥る。しかし今年、復調の気配を見せてツアー初優勝を目指す。7月5日現在、賞金ランキング41位(獲得賞金2746万1332円)

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