イ・ボミの人生を変えた「勇気ある決断」と「運命の出会い」 (3ページ目)
「家族がバラバラになるのは嫌だったけど、『早く成功する』という覚悟を持って家を出ました。田舎町では強くて有名な存在だったかもしれませんが、結局は井の中の蛙。全国的には、決してうまい選手ではありませんでしたから。高いレベルで勝負する必要がありました」
ここで、さらなる転機が訪れた。現在も専属コーチを務める、チョ・ボムス氏と出会ったのだ。
チョコーチは、水原市内にアカデミーを構えていて、ジュニア選手の育成に携わっていた。そのアカデミーに、イ・ボミがやって来た。当時のイ・ボミの印象について、チョコーチが語る。
「“勘”がいい、という表現が一番正しいのではないでしょうか。何かを教えれば、それをすぐに習得するセンスが彼女にはありました。加えて、ゴルフがうまくなるための、努力を惜しまない。ゴルフに対する情熱が、すごくありましたね」
2013年には、韓国プロゴルフ協会アワードで優秀指導者賞を受賞したチョコーチ。韓国では、名コーチのひとりとして有名だ。日本ツアーにもときどき訪れて、柔和な表情でイ・ボミのプレーを見守っている姿をよく見かける。しかし、イ・ボミに言わせれば、そんなチョコーチも、かつては「鬼コーチ」と呼ばれていたそうだ。
チョコーチの練習は、とにかく厳しかったという。「クラブを握らない日があってはならない」ということが一番の教えで、イ・ボミも「いくら疲れていても、感覚を鈍らせてはいけない」と口酸っぱく言われ、毎日欠かさずクラブを握って、練習を繰り返したそうだ。
現に今でも、オフで韓国に帰れば、イ・ボミはチョコーチのいる練習場に必ず足を運んで、コーチとともにスイングチェックするのが日課となっている。
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