【ゴルフ】遅咲きの吉田弓美子が秘める「こだわり」

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

キレのあるショットが持ち味の吉田弓美子。キレのあるショットが持ち味の吉田弓美子。 昨季3勝して賞金ランキング5位と、自己最高成績を残した吉田弓美子。今季はまだ勝利がないが、ヤマハレディース(4月3日~6日/静岡県)で単独2位、NEC軽井沢72(8月15日~17日/長野県)でも優勝争いに加わるなど(最終順位は6位タイ)、コンスタントに上位争いを演じて、日本女子ツアーの"顔"のひとりとして安定した地位を築いている(賞金ランク33位。8月27日時点)。

 とはいえ、今年の4月で27歳になった彼女が、レギュラーツアーで結果を出し始めたのは、ごく最近のこと。2011年シーズンに賞金ランク42位となって、初めてシード権を獲得。シード選手としては、まだ3年目のプレイヤーである。

 初優勝を飾ったのも、一昨年8月のNEC軽井沢72。25歳のときだった。2003年、高校生の宮里藍がツアー優勝を飾って以来、10代や20歳そこそこの選手が優勝を重ねている現状を考えれば、吉田はいわゆる"遅咲き"の存在と言える。

 そもそも吉田は、厚木北高2年のとき(2004年)からナショナルチームの一員となった。そこで、アマチュア時代からプロツアーで活躍していた諸見里しのぶ(28歳)をはじめ、有村智恵(26歳)や原江里菜(26歳)らとともに切磋琢磨してきた。海外遠征も経験し、「私もみんなと一緒にプロになる」と、プロの道を選んだ彼女が頭角を現すのは、さして時間はかからないと思われた。が、現実は甘くはなかった。

 高校を卒業して、初めて挑戦した2006年のQT(※1)でサード止まり。2007年、2008年も同様で、ファイナル進出さえ叶わず、2007年から2009年までの3年間は、TPD単年登録(※2)選手として、わずかな試合しか出場できなかった。

※1=クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。ファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの大半は出場できる。

※2=プロ資格を保持していない選手でも、TPD(トーナメントプレイヤーズディビジョン)単年登録をすれば、ツアーに出場できる。通常、セカンドQTを突破すれば登録可能だが、ファイナルQTで上位に入らなければ、主催者推薦などを含めても出場数は限られる。

 吉田は、この3年間が忘れられないという。

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