【ゴルフ】堀奈津佳が苦悩の果てに見つけた「大事なモノ」 (3ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 一方で、“自分らしさ”を求めるようになった堀は、勝つことの難しさを改めて感じているという。

「“勝つ”って、本当に大変だと思うんです。昨季は初優勝できて、そこからいい流れの中で2勝目を挙げることができました。勢いがあったり、調子も良かったりと、さまざまな要素が重なっての2勝でした。でも、それだけじゃ勝ち続けられないし、いつまでもそんな状態が続くわけがないと思うんです。だから今季は、地に足をつけて、地道にやらなきゃいけないと思っているんですよ。本当の意味での“強さ”を身につけるというか……」

 だが“真の強さ”など、そう簡単に身につけられるものではない。堀自身、それはよくわかっている。

「“強さ”って、今の自分に足りないものが何かをよく知り、自分と向き合い続けていく中で、足りないものを補いながら、少しずつ身につけていくしかないのかな、と思っています。(賞金ランクトップの)韓国のアン・ソンジュプロや、親友でもある今季好調の(成田)美寿々を見ていてもよくわかるんですが、何勝もしている人は、そういうことがしっかりとできている人だと思うんです。そんな選手になれるように、私もひとつ、ひとつ問題をクリアして、がんばっていきたい。そして、我慢強くプレイしていれば、必ずチャンスはめぐってくると思っています。そのときに『絶対に優勝を獲るんだ』という気持ちは、昨年にも増して、すごく強くなっています」

 昨季終盤からここまで、散々悩んでもがきながら、練習を重ね、試合に挑んできたのだろう。普段ファンに見せる愛らしい笑顔とは裏腹に、鋭く、真剣な眼差しで語り続けた堀。その口調は落ち着いていて、浮わついたところなど一切なかった。不振のときを経て、明らかにひと皮むけた彼女が、一歩ずつ、着実に、3勝目への階段を上がっていることは間違いない。

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