久保建英とソシエダに漂う「停滞感」とは? 直近5試合無敗も現地で高まる不満 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【負けてはいないがプレーレベルは?】

 2024年の年明けを、ラ・レアルは最高の状態で迎えている。チャンピオンズリーグ(CL)ではベスト16に進出していたし、スペイン国王杯でもいいスタートをきっていた。ラ・リーガで、CL圏内入りも夢ではなかった。

 ところが、エースである久保が日本代表の招集を受けてアジアカップで離脱後、チームは手詰まりになっていった。その直後、ラ・リーガでは5試合で1勝2敗2分け。日本代表がベスト8で敗退し、久保はスペインに戻ってきたが、疲れが出ているのは目に見えていた。

 2月14日、CLラウンド16でパリ・サンジェルマン(PSG)にファーストレグで2-0と敗れると、悪夢の1カ月が始まった。国王杯準決勝ではマジョルカに2戦合計で並び、PK戦の末に敗れ、タイトルには届かなかった。ラ・リーガでもビジャレアル、セビージャに敗北。CLは遠のき、EL狙いが精いっぱいになった。そして3月5日、PSG戦とのリターンマッチでも敗れ、欧州での夢がついえた。

 その後、チームは3勝2分けと奮闘。実は負けていない。しかし、プレーレベルは目に見えて下がった。

 久保は出場時間が限られ、体調不十分が影を落としている。明らかに足が重い。代表活動を含めた過密日程の影響を受けているのだ。

「久保がチームをけん引している」

 そう言われるほどの存在感を出していただけに、彼自身の苦境がそのままチームに投影されている、とも言える。

 一方で現地では、ここ1、2年で久保とアマリ・トラオレ以外の補強が不調なことへの不満が高まっている。

 左利きアタッカーのモハメド・アリ・ショはすでに戦力外で移籍し、ストライカー候補サディクは迫力満点だが、戦術や技術に難があってフィットしていない。レアル・マドリードで出番がなかった右サイドバックのアルバロ・オドリオソラは、周りから浮いている。ポルトガル代表FWアンドレ・シルバは「ミステリー」と言われるほど、正体が見えないまま。ロシアの天才アルセン・ザハリャンはキックの質が高いし、センスも感じさせるが、90分間を通して戦えない。

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