CL準々決勝バイエルン&レアル・マドリードの勝因は? 日本人選手決勝進出の夢消える (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【消えた日本人選手決勝進出の夢】

 アーセナルはマンチェスター・シティに次ぐ2番人気というブックメーカー各社のオッズを見れば、CL決勝を戦う初の日本人選手誕生かとの期待が高まるのは当然だった。

 しかし、アーセナルは後半18分に奪われた先制弾を、合計スコア3-2とする決勝弾とされてしまった。バイエルンの右ウイング、レロイ・サネ(ドイツ代表)にボールが渡ったとき、左ウイングのガブリエウ・マルティネッリ(ブラジル代表)は後手を踏み、冨安はマルティネッリをアテにしたのか、後方に下がって構えた。

 左ウイングと左SBの間隙を突く恰好となったサネは、ゴールライン際まで持ち込むと中央にクロスを送る。それが逆サイドに流れると、今度は左ウイングのラファエル・ゲレイロ(ポルトガル代表)が折り返す。これを中央に飛び込んだ右SBヨシュア・キミッヒ(ドイツ代表)が頭で決め、バイエルンは勝利を飾った。左SB冨安の動きで可変するアーセナルのシステムを研究したかのようなバイエルンの右攻めだった。

 こうして日本人選手のCL決勝進出は夢と消えた。

 一方のマンチェスター・シティ対レアル・マドリードは延長戦に及んだ。レアル・マドリードが前半12分、ロドリゴ(ブラジル代表)のゴールで先制すれば、マンチェスター・シティが後半31分、ケヴィン・デ・ブライネ(ベルギー代表)のゴールで追いつくという展開。延長にもつれ込み、最後はPK戦での決着となった。

 PK戦を制したのはレアル・マドリード。試合展開から言えば、まさかの結果である。

 試合は時間の経過とともに、マンチェスター・シティの一方的なペースとなっていった。後半31分の同点弾は遅すぎるほどで、そこから延長戦にかけて、攻撃のペースはさらに加速していった。

 だが、マンチェスター・シティは決勝ゴールを奪うことができなかった。敗者に悪いところは何もなかった。最大の原因は運のなさ。サッカーの神様の意地悪で片づけたくなるような一戦だった。

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