林陵平がアーセナルのチーム戦術、選手の特長を徹底解説 悲願のプレミア制覇なるか (3ページ目)

  • 沖永雄一郎●構成 text by Okinaga Yuichiro

【今季加入のライスがキーマンになっている】

――シーズン途中で、アンカーがライスからジョルジーニョに代わりましたが、ここの違いはありますか?

 ふたりともアンカーとしての能力が高いのですが、どちらかというと、ジョルジーニョのほうがゲームをコントロールでき、ライスのほうが人に強くてプレーエリアも広く、ふたり分ぐらいのスペースを守れる。そこは違いです。

 ビルドアップの時の前線への配球の仕方も、ジョルジーニョの場合は状況に応じて下りたり、逆に真ん中に留まったり。相手を押し込んだ時には、上の空間を使ってのループパスも得意としています。彼はピッチ内の監督みたいな感じで、周りの選手たちをうまく動かして自分も生きる選手です。

 でもチームのキーマンになっているのは、やっぱりライスですよね。彼の場合は自分でボールを引き取ってドリブルで運びますし、パスの強弱、縦パスのスピードの速さなども違います。彼がひとりで二役、三役をこなしています。今季1億5000万ポンド(約190億円)という大金をかけて獲得しましたが、それ以上の活躍をしていると思います。

 あとは、うしろのサリバとガブリエルですよね。このふたりなくして、今季の躍進はなかったかなと思います。

 でもやはり、全員がすごいですよ。サカはひとりでもらって崩せるし、マルティネッリも批判された時期はありましたが、独力で運んで全体を押し上げることができて、カウンターでも力を出せます。両ウイングはすごく強みがありますね。

 ハヴァーツも前半戦は少し苦しみましたが、アルテタ監督が信じて使ってきたことによって、最近は結果が出ています。彼のポリバレント性と、アーセナルに高さをもたらしたことは大きいですね。

 そして、10番のウーデゴール。貴公子ですよね。チームのために戦えて、走れるファンタジスタ。本当にうまい選手で、とにかくかっこいいです。

 レアンドロ・トロサールは完全なスタメンではないのですが、途中から出てきてあそこまで安定している選手はいないと思います。アシストもできればゴールもできるし、CF、左ウイング、左のインサイドハーフもできてポリバレントな選手です。本当に彼には期待したいですね。目の下のクマだけは気になりますが(笑)。

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