復活の鎌田大地に「ラツィオ退団」の噂 新監督は残留熱望も「何が起こってもおかしくない」 (2ページ目)

  • フランチェスコ・ピエトレッラ●文 text by Francesco Pietrella(『ガゼッタ・デロ・スポルト』)
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【トゥドールの脳裏にある光景】

 鎌田には、そんな困難に面したチームの手綱を握り、ゴールを決める役割が求められたが、彼もまたラツィオの負の空気に巻き込まれてしまった。サッリの最後の一カ月、鎌田に出番はほとんどまわってこなかった。ただロティート会長はそんなサッリのやり方には反対で、何度も鎌田を使うようにと言っていたが、もちろんサッリはそんな指示に従う男ではない。そして最終的にサッリは去り、鎌田の復活のシナリオが開かれた。

 トゥドールは鎌田を高く評価しており、新たなシステム、3-4-2-1を支える重要な存在であると認識している。トゥドールの頭からはある光景が離れない。2022年10月26日のチャンピオンズリーグ、開始たった3分にゴールを決めたフランクフルト時代の鎌田の姿だ。この日、対戦相手のマルセイユを率いていたのが、他でもないトゥドールだった。彼が敗れてスタジアムをあとにしなければならなかったのは、すべて鎌田のせいだった。

 だからこそトゥドールは、鎌田と味方として再会したことを喜び、オリンピコでの最初の試合、3月30日のユベントス戦ですぐに彼をスタメンに入れたのだ。その期待に鎌田は今シーズン最高のパフォーマンスで応えた。ペドロとフェリペ・アンデルソンの後方にダニーロ・カタルディと入り、ユベントスの中盤を相手に持ち味を発揮した。9月のナポリ戦と並ぶようなすばらしいプレーだった。
 
 トゥドールは次節のローマとのダービーマッチ、そしてサレルニターナ戦でも引き続き鎌田をスタメンとして起用している。スタートの11人から外れたのはコッパ・イタリアのユベントス戦だけだ。

 これまでの鎌田のパフォーマンスには波があった。だがそんな彼にトゥドールは無条件の信頼を寄せている。

 サッリは鎌田に特に目をかけることはなかった。それはプレーのリズムの問題でもある。サッリのサッカーは非常に図式的で、方法論的で、緊張感が高い。そのなかでサッリは鎌田を受け入れることはなかった。一方、トゥドールは鎌田を、自身が描くサッカーの重要な駒であると考えている。監督就任の会見で彼は鎌田についてこう言っている。

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