怪物・福田師王はなぜ高校卒業後すぐ渡独したのか? 1年でボルシアMGのトップに昇格 (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【海外に行くのなら、早く行ったほうがいい】

 ただ、出場機会があるといっても、そこはドイツ4部リーグ。ボルシアMGのツヴァイテにはプロ契約を目指す選手が揃っていても、対戦相手にはプロ契約を目指す選手だけでなく、ここがレベルとして上限という選手もいる。

 試合環境も決して華々しいものではない。少ない時は数百人の観客の前で、屋根のない陸上トラック付きのピッチという場合も多い。言ってみれば、キラキラ感のまったくない、ブンデスリーガとは近くて遠い世界だ。その点は気にならなかったのか。

「それは全然、気にならなかったです。少しでも早く試合に出られる環境を求めていました。それに結局、将来的に海外に行くんだったら、早く行ったほうが言葉やすべての面においていいと思ったので。だから、こっちに早く来ました」

 出場機会は見込める一方で、あくまで海外サッカーだ。Jリーグとは別のリスク、ハードルも多く存在する。

 それに、何かにつまずいても、Jリーグクラブ出身の選手とは違い、受け入れてくれる古巣はない。いわば退路を絶った状態だ。

 でも、当時18歳の福田の脳裏に、そんなことはチラリともよぎらなかった。

「いや、こっちに来た時から普通に、1日でも早くトップに上がるっていう目標を立てていたので。だって、もう決めたんですもん、ここで活躍するって。失敗ですか? それはまったく考えてないです」

 実現を疑わない、まっすぐな目でそう話した。

 結局、ツヴァイテに所属したのは半シーズンのみで、トップ昇格を告げられたのは今年の1月。その時は突然、訪れたそうだ。

「去年からトップとツヴァイテの練習を行き来していたんですけど、1月上旬にセカンドでやっていた時期、トップチームはオランダ1部のゴー・アヘッド・イーグルスと練習試合をしていたんです。

 その日(1月7日)の午前中は、いつもどおりセカンドでガッツリ練習しました。そうしたら『ベンチに入るだけだから』って言われて、ベンチに呼んでもらったんですよ。すると、試合の最後のほうに出ることになって、ゴールを決めたんです。その次の日かな、(トップ昇格を)言われたのは」

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