怪物・福田師王はなぜ高校卒業後すぐ渡独したのか? 1年でボルシアMGのトップに昇格 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【高校卒業後にドイツにやってきた理由】

 夏にはボルシアMGツヴァイテ──つまりセカンドチームに昇格。ツヴァイテはU-19チームとは違い、年齢制限なく10代から20代後半の選手たちがトップチーム昇格をかけてしのぎを削る。戦う舞台も、U-19リーグから4部リーグヘと変わった。もちろんブンデスリーガのような高いクオリティはないが、大人の公式戦で、いわゆるバチバチの戦いがそこにはある。

 福田はまず、チーム内のメンバー争いを問題なく勝ち抜いた。今季ここまでの公式戦全26試合中14試合に先発、3試合に途中出場。出場なしは基本的に負傷か代表関連で不在の時、最近ではトップチームの試合に絡んだ時だけで、つまりは主力中の主力として試合に出場している。

 とはいえ、試合には出られるが、簡単にゴールを決めたり、試合に勝てるわけではない。

「大変でしたよ、去年は。でも、練習から意識高くやっていました。シュート練習に関しては、誰よりも意識高くできていたんじゃないかな。それになにより、早い段階でトップに行くって心に決めていましたし。セカンドでなるべくプレーしないように、トップで試合に出られるようにって、それだけを考えていました」

 ツヴァイテの試合環境をグチるのではなく、それを向上心に変換して戦ってきた。福田が高校卒業後にJリーグや日本の大学ではなく直接ドイツにやってきたのも理由は、この「試合に出られる環境」を望んでいたからである。

「高校を卒業してすぐの選手が、そう簡単にはトップの試合に絡めないなって思っていたので。だからドイツに来て、ちゃんとイチから身体を作ったり技術を磨いたり......ということをやっていこうと、ずっと思っていました」

 高卒新人がプロ1〜2年目でJ1クラブのレギュラーを勝ち取る可能性は、極めて低い。最近では、青森山田高からFC東京に加入した松木玖生がいきなり開幕スタメンに名を連ねたことが話題になったほど。実際のところ、加入から3年経ってもプロ契約の条件である出場時間450分に達する選手は半数以下、という厳しい現実がある。

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