三笘薫、久保建英がこの舞台に立ったら? CL準々決勝で目立った強力ウインガーたち (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【変貌するブラジル人アタッカーたち】

 ベンゼマがサウジアラビアに去った今季、カルロ・アンチェロッティ監督はどう対応したか。ベンゼマに変わる世界的なセンターフォワードを獲得したわけではない。1トップに置いたのはヴィニシウスで、左ウイングにはロドリゴを据えた。通常、右でプレーするブラジル代表選手を、左に据える配置転換を図ることで対応した。

 これが思いのほかハマった。ヴィニシウスは1トップといっても左に流れてプレーすることが好きな選手で、まさに昨季まで所属したベンゼマ然とプレーした。マンチェスター・シティは昨季のような対応を見せなかったので、レアル・マドリードの左サイドは再びストロングポイントと化したのだった。

 想起したのは、1トップにティエリ・アンリ、その下にデニス・ベルカンプを据えて戦ったアーセナルの最強時代(2000年代前半)だ。左に流れることが好きなアンリはヴィニシウスで、ベルカンプはジュード・ベリンガムだった。ちなみにロドリゴはフレドリック・リュングベリ。清水エスパルスで1シーズンほどプレーしたこともあるスウェーデン代表選手だ。

 ウイングが2枚いるも同然の左からの攻めに、マンチェスター・シティは手を焼くことになった。2戦目に向けてどう対策を立てるか。グアルディオラの対応策は見物である。

 ヴィニシウス、ロドリゴはともにブラジル人選手である。かつてCLを湧かせたネイマール、ロナウジーニョ、ロビーニョらは、ポジションをカバーする意識に欠けていた。よく言えば奔放にプレーするタイプだった。ネイマールにヴィニシウスやロドリゴの役がこなせるとは思えない。

 現在のアーセナルで、ウイング兼ストライカーとしてプレーするガブリエウ・ジェズスも、言うならば非ネイマール的な選手に変貌を遂げつつある。バイエルンに2-1とリードされていた後半21分に投入され、レアンドロ・トロサールの同点ゴールをアシストしたプレーなどは、旧来のブラジル人選手らしからぬ頭脳的なプレーだった。

 ネイマールではもはや欧州一は狙えない。PSGが彼を手放したのも当然のように見える。

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