「久保建英が調子を落としているのは誰が見ても明らか」とスペイン人記者 フィジカル面だけでなくメンタル面でも「大きな痛手を負っている」 (4ページ目)

  • イケル・カスターニョ・カベージョ●取材・文 text by Iker Castaño Cabello

【久保のポジションはベッカー、ザハリャンに脅かされる?】

 もしかしたら、調子を落としている久保がレギュラーとして起用され続けることに、疑問を持つ者がいるかもしれない。その場合、今冬の移籍市場でやって来たシェラルド・ベッカー、昨夏加入したアルセン・ザハリャンという、久保とタイプの違うふたりに注目が集まる。

 久保と同じ右サイドを本職としながらも、攻撃のあらゆるポジションでプレーできるベッカーは、カディス戦に左ウイングで先発出場。まだチームに完全にフィットしているわけではないが、類稀なスピードを武器に大きな可能性を感じさせている。

 FWというよりもMFに近いタイプであるテクニシャンタイプのザハリャンは、久保のバックアップをよく務めている選手。徐々に出場時間を増やし、カディス戦で久保との交代直後にラ・レアルでの初得点を挙げたことは、今後の自信につながるだろう。

 ふたりともシーズンが佳境に入るこの時期に存在感を高めているが、私は現時点で久保がレギュラーの座を脅かされることはないと思っている。しかし、今のようなパフォーマンスが続くようなら当然、イマノルが何らかの処置を施し、ベンチスタートになる場合もあり得るだろう。

 久保が2022年夏にラ・レアルデビューを果たした時、それまでに所属していたクラブでの実績を考えると、彼の先発起用には疑問符が付いていた。しかしそれも過去の話。今のところ、彼がレギュラーで出ることに議論の余地はない。その証拠にここまでずっと重要な試合で先発し続けている。

 またラ・レアルとの契約を2029年まで延長したのは、クラブの揺るぎない信頼を示すものだ。サポーターも彼に大きな信頼を寄せており、来シーズンもチームの柱のひとりであり続けることを歓迎するだろう。

 調子を崩している久保がこの後、代表戦に参加するのは気がかりだが、国王杯とCLに敗れて過密日程から解放されたことは不幸中の幸いと言えよう。サン・セバスティアンでは皆が、5季連続の欧州カップ戦出場権が懸かるラ・リーガの残り9試合でベストの状態に戻ってくれると信じている。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)

プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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