久保建英の前に厳然とした実力差 CLベスト8進出チームはどこが違うのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【バロンドール級の一発】

 イ・ガンインのパスを受けゴールを決めたエムバペは、その2点目もさることながら、前半15分に奪った先制弾が圧巻だった。左サイドで縦パスを受けると最深部に侵入。そこから切り返しのフェイントを2度入れた直後、その右足のインフロントから放たれた、巻くようなキックがサイドネットギリギリに吸い込まれていった。

 左ウイングと言えば、三笘薫も世界を代表するウイングのひとりだが、エムバペのパワーとスピード、そしてフェイントのキレにはさすがに及ばない。まさにスーパースター級の一発だった。バロンドール級と言ってもいい。

 昨季までリオネル・メッシ、ネイマールの陰に隠れ、その狭間で窮屈にプレーしていた印象だが、今季はふたりが去り、のびのびプレーしている。かつてはスピードがありすぎて、サッカー選手というより陸上の選手に見えたものだが、現在はそうした臭みが消え、すっかり高次元でバランスの取れたスター選手になった。来季は噂どおりレアル・マドリード入りするのだろうか。

 そのレアル・マドリードはライプツィヒと対戦して1-1。合計スコア2-1(第1戦は0-1でレアル・マドリード勝利)という接戦をものにした。

 光ったのはレアル・マドリードの左ウイング、ヴィニシウス・ジュニオールとジュード・ベリンガムのコンビネーションで奪った第2戦の先制ゴールだった。

 この試合、レアル・マドリードは後半の頭からエドゥアルド・カマビンガに代えロドリゴを投入。これに伴い布陣はベリンガムを0トップに据える4-3-3から4-4-2に変化した。ベリンガムが左サイドハーフに移行したのに対し、ヴィニシウスは2トップの一角に回った。

 だが、ヴィニシウスは左で構えることが好きなタイプだ。エムバペとポジション的な適性は完全に一致する。両スター選手が同じチームでやっていけるのかという疑念が湧くが、それはともかく、この試合の後半もヴィニシウスは実質的に左ウイング然と構えた。左サイドにはつまりSBファーランド・メンディ、ベリンガム、ヴィニシウスの3枚が縦に並ぶことになった。

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