ブラジル人記者が嘆く「サッカー王国」の没落 五輪予選敗退は氷山の一角にすぎない (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 世界を見ても、現在ブラジル人の監督がビッグクラブを率いている例はない。いやブラジルの名門でさえ、多くは外国人監督に率いられている。これは監督育成をおろそかにしてきたつけだ。アルゼンチンは何年も前にサッカー協会が監督養成学校を設立し、その質の高さには定評がある。ここを終了すればヨーロッパでの監督資格も取ることができる。

 つまり、ブラジルは何年もの間「サッカー王国」という名声の上に胡坐をかいて、その名声を切り売りするだけで、何の手立ても講じてこなかったのだ。今、そのツケが氷山となってブラジル各代表の行く道を阻んでいるのだ。

 この記事を書いている間に、ビーチサッカーのブラジル代表がドバイで行なわれていたW杯で3大会ぶりに優勝を果たしたというニュースが入ってきた。今、ブラジルが誇れるのは彼らしかいない。サッカー王国ブラジルは砂の上に立っている。

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