久保建英は躍動もスペイン初戴冠ならず レアル・ソシエダはなぜ勝てなくなったのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 はっきりと言えば、今シーズンのラ・レアルという船をどうにか航行させてきたのは久保だった。ダビド・シルバが開幕直前に大ケガを負って電撃的に引退することになって、攻撃面の不安が高まるなか、久保は新エースとしてチームを引っ張った。昨年9月にはレアル・マドリードのジュード・ベリンガムを抑え、月間MVPを受賞。チームに勢いをつけ、チャンピオンズリーグ(CL)でも、グループリーグでインテルを抑えての首位通過に大きく貢献した。

 しかし、久保が1月にアジアカップで不在になって以降、チームは明らかにペースダウンしている。ラ・リーガでは勝ち点の取りこぼしが続き、ヨーロッパカップ出場圏外に押し出された(直近の8試合で唯一、勝利したリーグ戦のマジョルカ戦も、久保がシーズン7得点目を記録した)。CLラウンド16も、ファーストレグでパリ・サンジェルマン(PSG)に2-0と追い込まれている。そして国王杯での敗退......。

 今後、ラ・レアルは3月2日にラ・リーガのセビージャと戦い、5日にはPSGとのリターンマッチを控える。

 久保はアジアカップからの連戦で、満身創痍に近いだろう。まずは万全の状態で挑めるかどうか。さもなければ、この苦境を逆転させることはできない。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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