マンチェスター・シティで存在感を増すスペイン代表MFロドリ 風間八宏が指摘する特長とは

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

風間八宏のサッカー深堀りSTYLE

独自の技術論で、サッカー界に大きな影響を与えている風間八宏氏が、今季の欧州サッカーシーンで飛躍している選手のプレーを分析する。今回は、世界最高峰のパフォーマンスを見せるマンチェスター・シティで、ますます存在感を見せるMFロドリを紹介。アンカーを務めながらゴールも奪う、そのスゴさとは?

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【ボランチだけでなくシュートレンジにも入っていける】

「以前は、このポジションの選手は守備の指揮官というのが定番でしたが、この選手の場合、攻撃の指揮官にもなれるうえ、第2ストライカーにもなれる」

 独自の視点を持つ風間八宏氏が、そう言って舌を巻くのが、マンチェスター・シティの中心選手として活躍するスペイン代表MFのロドリだ。

マンチェスター・シティでますます存在感が増しているロドリ(写真右) photo by Getty Imagesマンチェスター・シティでますます存在感が増しているロドリ(写真右) photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る ロドリと言えば、インテルと戦った昨シーズンのチャンピオンズリーグ決勝戦の決勝ゴールが記憶に新しいが、しかしそのゴールシーン以外にも、攻守両面にわたってクオリティの高いプレーを披露。マンチェスター・シティの悲願だった欧州制覇の立役者であることは、誰もが認めるところだろう。

 そのロドリが担当するポジションが、スペインで言う「ピボーテ」。いわゆるアンカーポジションだ。

 しかし風間氏は、ロドリはこれまでのピボーテの概念を進化させたと見ている。

「少し前までは、アンカーやボランチと言われるポジションでプレーする選手はセンターバックの前が主な仕事場所で、守備的MFとして、あるいは攻撃の起点としてのボールのさばき役を担うのが一般的でした。

 でも、ロドリはそれだけではありません。つねに真ん中でプレーすることは同じですが、チーム全体が押し込んで攻めている時は、攻撃の駒となってシュートレンジにも入って行ける。

 相手のペナルティーエリア付近でラストパスを供給することもできますし、自らシュートも狙います。後方から前線にタイミングよく出てくるので、マークするのは難しいですし、相手にとってこれほど捕まえにくい選手はいないと思います」

 風間氏が指摘してくれたように、ロドリはピボーテの概念にとらわれない、ある意味でオールラウンダーなMFだと言える。スタートポジションは守備的MFではあるが、チームのなかで担っている役割は、守備的な仕事だけではない。

 それは、つねに戦術の最先端を走るジョゼップ・グアルディオラ監督が、理想としているピボーテ像と言っていい。

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