三笘薫とソン・フンミン「日韓7番対決」はトッテナムに軍配 悔やまれる「最後の選択」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【最深部からマイナスの折り返しを】

 先制はブライトンでPKだった。17分、ステップを踏んだ1トップ、ダニー・ウェルベック(元イングランド代表)の足をスパーズのCB、ミッキー・ファン・デ・フェン(オランダ代表)がさらい転倒させたのだった。

三笘の見せ場は29分に訪れた。プレスバックからヤンポール・ファンヘッケ(オランダ代表)、ウェルベック、アダム・ララーナ(元イングランド代表)を経てラストパスが三笘に回ってきた。右足のアウトで放ったシュートは、しかしスパーズGKグリエルモ・ヴィカーリオ(イタリア代表)の美技に阻まれた。

 すると流れは徐々にホームのスパーズに傾いていく。同点弾が生まれたのは後半16分。決めたのは、右ウイング、デヤン・クルセフスキー(スウェーデン代表)の縦パスを受けたMFパペ・マタル・サール(セネガル代表)。浅いバックラインで背後を突かれやすい傾向があるブライトンらしい失点だった。

 ポステコグルー監督はその1分後、交代カードを3枚同時に切った。そのなかにソン・フンミンも含まれていた。満を持すかのように逆転ムードの演出を図ろうとした。

 韓国の7番と日本の7番が、それぞれ左ウイングで対角に構える恰好となった。最初に仕掛けたのは三笘。後半19分、スパーズの右SBペドロ・ポーロ(スペイン代表 )と1対1になるとCKを獲得。その8分後にも、かなり際どいマイナスのクロスボールを右足のアウトで蹴り込んでいる。

 気がつけば流れは、今度はブライトン側に傾いていた。スパーズはメンバー交代を機に、それまでのいい流れが失われる恰好になった。

 三笘がこの日、最大のチャンスを演出したのは後半31分。ソン・フンミンの縦パスをカットしたパスカル・グロス(ドイツ代表)が、タッチライン際で構える三笘に配球すると、日本の7番は対峙するポーロを苦もなく抜き去り、最深部に進出。マイナスの折り返しを中央に走り込んだアンス・ファティ(スペイン代表)に送った。しかし、アンス・ファティが放った左足シュートはポストをかすめながら枠外に逸れていく。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る