メッシのインテル・マイアミは面白いのか オーナーのベッカムがバルセロナOBメンバーで固めたチームの横顔 (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi

【メッシの加入で"フィーバー"が起こる】

 ただし、その成績とは裏腹に、クラブ創立以前からインテル・マイアミはサッカー界ではよく知られていた。なぜならクラブの共同オーナーを務めているのが、元イングランド代表のスーパースター、あのデヴィッド・ベッカムだからだ。

 ベッカムがMLSのクラブを立ち上げようとしたのは2014年のことだった。2013年にパリ・サンジェルマンで現役を引退したベッカムは、それ以前の2007年から2012年にかけて、現在吉田麻也と山根視来も所属するロサンゼルス・ギャラクシーでプレーした過去があり、その時代にマイアミに超高級別荘を購入。そんな縁もあって、引退後にマイアミに新しいクラブを立ち上げることを決意したのだった。

 ただ、ベッカムが新クラブの本拠地マイアミに2万5000人収容の新スタジアムを整備すると華々しく表明したものの、その後は地元との交渉が難航。クラブ設立までにはそれなりの時間を擁した。

 また、現在のホームスタジアム「DRV PNKスタジアム」はマイアミから北に約40㎞離れたフォートローダーデールにあり、悲願だったマイアミの新スタジアム「マイアミ・フリーダム・パーク」はようやく昨夏に着工し、2025年のオープンを目指している。メッシとインテル・マイアミとの契約が満了するは2025年12月。ベッカムとしては、新スタジアムが本格稼働するタイミングで、メッシという目玉選手がどうしても欲しかった。

 パリ・サンジェルマンを契約満了で退団したメッシにとっても、ベッカムからのオファーは渡りに船だった。当時メッシには古巣バルセロナをはじめ、サウジアラビアからも高額年俸のオファーはあったが、本人曰く「家族のことも考えて決断した。現在とは異なるサッカーを楽しむ時が来た。ベストを尽くしたい気持ちは変わらないが、少し落ち着いた環境でプレーしたい」というのが、インテル・マイアミ移籍の主な理由だった。

 オーナーはサッカー界の誰もがよく知るベッカムで、マイアミではメッシの母国語でもあるスペイン語が通じる。しかも世界中のセレブが別荘を所有するその土地柄から、有名人が日常生活を送るには最適な街とされるため、静かに暮らすことを望むメッシの家族にとっても申し分のないオファーだった。

 まさに相思相愛の移籍だったというわけだが、実際、昨夏にメッシがインテル・マイアミに加入すると、さっそくチケットはほとんどの試合でソールドアウト。想像以上の"メッシ・フィーバー"により、俄然クラブは活気づいた。

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