2023サッカー界7大ニュースをブラジル人記者が選ぶ 「チーム史上最高のファウル」やメッシ、なでしこ、サウジアラビアの話題など (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 しかしオニエンの奇行はそれだけではなかった。3月のノリッジ戦で、今度は相手チームの選手にキスをした。ノリッジのヤコブ・ソーレンセンとオニエンが言い争いになった際、オニエンは相手を黙らせようと、突如キスをしたのだ。結果的に相手はより逆上してしまったが、イエローは出なかった。試合後、なぜあんなことをしたのかと聞かれたオニエンはこう答えている。

「試合で相手選手からキスされると思う選手はまずいないよね? だから虚を突いたんだ。まあ少しは効果があったと思うよ」

●ある名門チームの転落

 自分の「心のチーム」が2部に降格するのはとてもショックなことだ。それが創設から111年、一度も2部に落ちたことのないチームなら、なおさらだろう。我がサントスは知っての通り、サッカーの王様ペレがそのキャリアのほとんどを過ごしたチームだ。世界のサポーターが選んだ「FIFA20世紀のビッグチーム」では5位に入った名門。優秀な若手を育てるのもうまく、ネイマールやロドリゴ・ゴエスもサントスで育っている。

 だがサントスにとって、2023年はひどい1年だった。昨年末にペレを失い、喪に服しながら新しい年を迎えた。監督はシーズン中に5人代わり、スポーツ・コーディネーターだった元日本代表監督のパウロ・ロベルト・ファルカンはセクハラで解任された。そしてチームのDFが金をもらってわざとイエローやレッドカードを貰っていたのが発覚し、ついには降格だ。ペレがサントスのこの悲惨な状況を見なかったことだけが救いだろう。

 来年は起死回生を狙う1年となるだろう。それを担うのは元V・ファーレン長崎のファビオ・カリーレ監督、そして元鹿島アントラーズのディエゴ・ピトゥカである。

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