谷晃生がベルギーで「想像していた以上」の過酷な日々 ビザに振り回され、選手登録は遅れ、右足首のケガは「自分で治した」 (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 GKは必ずリアクションでプレーすることからも、必要な時に、必要な声掛けをできるかがすごく大事だと、改めて考えるようになりました。これは加入から1カ月くらい経った時に、GKコーチから『日本人は周りに気を遣いすぎる。そうじゃなくて、もっと自分を主張することも大事だし、もっとアグレッシブなメンタリティを持たないとダメだ』と言われたのもあります。

 実際、加入したての頃の僕は、周りに何を言われても『OK、OK』と受け入れることが多かったんですけど、それじゃあいいプレーはできないし、周りを動かせないと、結局は自分のところにツケが回ってくるので。とはいえ、今もまだ、伝えるべきことが頭ではわかっているのに、それを咄嗟に言葉にできないもどかしさは、多少はあります。

 でも、最近はそれを自分のなかで飲み込んで終わらせずに、伝えきれなかったことは、たとえば練習や試合が終わったあとに、『あのシーンの時はこうしてほしかった』と伝えるなど、自分なりの工夫はしています。もちろんその場、その場で言うほうがいいに決まっているので、空いた時間を使って自分の言葉のスキルを上げることも続けています」

(つづく)

谷晃生(たに・こうせい)
2000年11月22日生まれ。大阪府出身。ガンバ大阪のアカデミー育ちで、高校1年生の時に二種登録され、2017年3月にはJ3リーグデビュー。同年12月には飛び級でのトップチーム昇格が発表された。2020年、湘南ベルマーレに期限付き移籍。2022年までの3シーズン、不動の守護神として活躍。2023年、ガンバに復帰するも、同年夏にはベルギーのFCVデンデルEHへ期限付きで移籍した。世代別代表では、2017年U-17W杯、2021年東京五輪に出場。2021年8月、日本代表にも初めて選出された。

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