谷晃生がベルギーで「想像していた以上」の過酷な日々 ビザに振り回され、選手登録は遅れ、右足首のケガは「自分で治した」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 それ以外は......味方が効果的に点を重ねてくれた一方で、シュートはあまり飛んでこなかったので、仕事らしい仕事はほぼせずに終わりました。チームメイトにも試合後、『今日はおまえが一番よかったぞ。ナイスセーブだったな』ってツッコまれたので、『今日はかなりのハードワークやった』と返しておきました(笑)」

 チームメイトとのやりとりを聞く限り、また、ピッチ内外でのさまざまなシーンを切り取ってみても、チームに溶け込んでいる様子は伝わってきたが、本人の言葉にもあるとおり、ここまでの約4カ月半は「想像していた以上」の過酷な日々に苦しんだと聞く。ベルギーに渡って1カ月近く就労ビザが降りず、選手登録に時間がかかったこともさることながら、慣れない環境下で右足首を痛めたこともブレーキになった。

「デンデルにとっては、EU圏以外の外国籍選手の獲得が初めてだったからかもしれないですが、ベルギーに渡ったばかりの頃はとにかくビザに振り回されました。就労ビザが降りない限りは練習試合にも出られず......。

 しかも、ようやく1カ月くらいかかってビザが降りて、最初の練習試合を戦い、直後のカップ戦でデビューを、というタイミングで右足首を痛めてしまった。ボコボコのグラウンドに右足が引っかかって、変な方向に足を持っていかれたことによる強捻挫でした。

 ただ、治そうにもデンデルには治療器具が一切なくて(苦笑)。トレーナーもいるし、ドクターも週2回のペースで来ていますが、僕が所属してきたJクラブのように練習場ではケアができなかったんです。

 チームが病院にアポイントだけ取ってくれたので、ひとりで病院に行ってMRIを撮り、骨には異常がないとわかったものの、チームに戻っても治療する術はなかったので、自然治癒を待つしかなく......。それじゃあ、休んでいる意味がないと思い、受傷から1週間くらいで自分から申し出て、痛みを押して練習には参加していたんですけど、『MRIの結果がよくないから試合には出さない』と言われてしまって(苦笑)。

 そんなこんなで結局、練習をしながら1カ月くらいかけて自分で治しました。これまであまりケガをしたことがなかったので、受傷した事実そのものに自分でも驚きましたけど、環境が変わるってこういうことなんやろうな、って受け入れました」

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