上田綺世「貴重な場を逃してしまった」 CLアトレティコ戦で期待に応えられず消沈 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【CLで活躍すれば次の移籍につながるチャンスも】

「上田に大きな資金を費やしたのはCLのためだったから、大きな失望」

 アルネ・スロット監督は記者会見でこう発言した。アウェーでの第2節アトレティコ戦では復帰し、先発した上田は後半15分までプレーした。これが上田の今季ここまでの最長出場時間だ。

 そんな経緯からすると、第5節での後半開始から45分間の出場はとても長く、上田にとって大きなチャンスだった。だが、上田は得点を奪うことができず、チームは敗れ、グループステージ敗退も決定した。

 この45分間で、上田には手に入れたいものがふたつあった。まずはなにより、このチームで出場機会を増やすために指揮官の信頼を得ること。

「もっと信頼を得て、自分の時間を勝ち取らないと。信頼とともに出場時間は増えてくるものだと思うんですけど、今日みたいな試合で結果を残すのが一番、信頼を得られる。そういったチャンスだったと思うと、今日はちょっと逃したのかなと思います」

 抜群の動き出しからパスを受け、シュートまで持っていく場面は数回見られた。パフォーマンスは決して悪くはなかった。だが、結果にはつながらなかった。

 そしてもうひとつ、手に入れたいものは、キャリアにおいてのCLでの結果だ。

「まだリーグ戦もいっぱいありますし、ひとつずつやっていくんですけど、CLという大会を僕のキャリアのなかで経験するうえで、もっと上に行きたかった。自分の年齢も若くないので、今年は一番のチャンスだった。まぁチャンスっていっても(試合に)出なきゃ意味ないですけど。そういう貴重な場を逃してしまったのは悔しいです」

 チャンピオンズリーグは誰にでも手の届く大会ではなく、所属クラブがいつでも参加できるわけでもない。もちろん今後も機会はあるだろうが、上田は今年を「貴重な1回」と捉えていたわけだった。

 上位進出の先には、フェイエノールトでのさらなる活躍もあったかもしれないし、欧州でのより大きなマーケットに知られることで新たな飛躍──つまり移籍にもつながったかもしれない。その大きなチャンスを逃した、というふうに聞こえた。

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