三笘薫のシャビに通じる「方向性のよさ」を再認識 日本代表でも発揮できるか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【アヤックス戦とは別人のような動き】

 ピッチに現れた三笘はアヤックス戦とは別人のような快活な動きを披露した。後半5分、8分、13分と左のウイングプレーで次々と見せ場を作った。続く16分にはアンス・ファティのパスを受け、決定的なシュートに及んでいる。相手GKに防がれたものの、さすが三笘と言いたくなる品格を感じさせる高級なプレーだった。

 追加点は時間の問題。そう思われた矢先だった。後半24分、MFマフムート・ダフードが相手の足を故意に踏みつけ、一発レッドで退場に処されてしまう。1-0ながら余裕の試合運びを見せていたブライトンは一転、慌てふためくことになった。そしてその5分後、シェフィールドに同点とされてしまう。

 相手はそれまで11戦して1勝しかしていない最下位チームである。大誤算とはこのことだ。ブライトンのような決して大きくないクラブは、欧州カップに出場すると両立することの難しさから、国内リーグの成績を大きく崩すことがある。ブライトンにその可能性は低いと思っていたが、ここに来て怪しいムードになっている。シェフィールド戦は結局、1-1のまま引き分け。ブライトンはプレミアリーグにおいて過去6試合で勝ちなしとなった。マンチェスター・ユナイテッドに抜かれ順位は8位に後退した。

 左SBに故障者が続出し、適性のある選手を配備できなくなっていることがその大きな原因である。この日先発したイゴール・ジュリオも本職はセンターバック。タッチライン際でサイドアタッカー然とプレーすることを得意にしているようには見えなかった。

 三笘にとって最適な相手=ペルビス・エストゥピニャンは、先のアヤックス戦で後半に交代出場したと思ったら、即、異状を発生させ退場する始末。左SBはブライトンにとって浮沈のカギを握るポジションになっている。

 SBが活躍したほうが勝つ。SBが活躍するサッカーこそがいいサッカーとは、欧州でよく耳にする格言だが、ブライトンも実際、左サイドの高い位置に、三笘とエストゥピニャンの2者関係にもう1人が加わり、3角形が形成されたとき、大きな崩しができていた。

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