久保建英がずっと上に行く可能性をソシエダのレジェンドが語る「成長は続く」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【リーガ制覇という快挙の再現は?】

 地元では、久保を「ロペス・ウファルテの再来」とする声もある。ウファルテは左利きでキックに長け、ドリブルはトリッキーで、得点力も高かった。主戦場が左ウイングだっただけに、2人を同じようには語れないが、1980年代、連覇した最強ラ・レアルでチームメイトだったゴリスの言葉は説得力があった。

「ロペスとタケが似ている部分はあるのだろう。ただ、自分はロペスとチームメイトとして一緒にプレーしたが、ラ・レアルでは2度ラ・リーガを制覇して、スペイン代表でも多くの実績を残している。"キャリア"という点では、まだ比較するべきではないよ。

 ただ、将来的にタケがロペスのようになったとしても不思議ではない。タレントだけで言えば、タケはロペスよりも上なところがあるし、ずっと上に行く可能性だってある。その意味では、タケはまだ若く、これからの選手ということだ」

 ゴリスはレジェンドと言われるが、偉ぶったところは一切なく、キャリアに相応しい鷹揚さを持っていた。スペイン代表としてもイタリアW杯に出場し、得点も記録している。その分析は端的だった。

 そこで最後の質問を向けた。

――ラ・リーガ王者として、もしタケに何かアドバイスするとしたら?

「タケのことは個人的に知らない。でも選手として謙虚だし、"成長したい"という向上心や野心を感じさせるよね。そのパーソナリティは、成功するための条件だ。

 タケがラ・リーガ優勝の快挙を再現できるか? できたらいいよね! ラ・レアルは下部組織から選手を輩出させながら、いいチームを作っている。そこにタケのように重要な選手が入り、違いを出せれば、どんどん強くなる。勝つことで自信をつけて戦いに挑むことができたら、かつてのような快挙を繰り返せるはずだ。

 チームメイトたちの声も自分の耳には入ってくる。『すごくいいやつで、普通に馴染んでいる』ってね。チームに受け入れられているのだろう。みんなが思わず笑ってしまうような楽しいこともするというから、すごくいいヤツなんだと思う。日本とバスク、スペインの橋渡しというか、サッカー、スポーツを超え、社会の中の人間としてすばらしい存在になっているよ」

Profile
アルベルト・ゴリス
1958年、イルン(バスク)生まれのDF。レアル・ソシエダの下部組織出身で、1979年、トップチームデビュー。以来、レアル・ソシエダひと筋で、1992-93シーズン終了後に引退。公式戦通算ではクラブ最多の599試合に出場。スペイン代表として12試合に出場している。

久保建英や鎌田大地、三笘薫など日本人選手の活躍にも期待!
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プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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