「久保建英は制御できない」と現地紙も絶賛 レアル・ソシエダの20季ぶりCLベスト16進出に貢献 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【相手の"久保番"はまたも交代】

 一方で、久保はチームプレーヤーとしても絶大な貢献をしていた。間断なくプレスに参加。カウンターでの切り替えも速く、リトリートで全力疾走する場面もあった。

 11分、2点目の場面は象徴的だ。久保は右サイドをやや強引にドリブルで運び、相手ゴールラインで奪い返される。しかし敵陣まで押し込んだことによって、右サイドバックのアリツ・エルストンドは敵陣でボールをカット。相手スローインになるが、先ほど久保を追いかけていた選手は圧力を感じていたのか、弱気を見せてバックパスをミス。これを拾ったオヤルサバルが確実にゴールを決めた。

 久保は右サイドから脅威を与えていた。18分には右でボールを運んで起点になった後、リターンを受けると、一気に2人のディフェンスを緩急の変化でかわしている。クロスの折り返しが、オヤルサバルのヘディングゴールを演出。これはオフサイドで取り消されたが、3点目の伏線になった。

 20分、今度は久保がカットインして2人を引き連れると、この時点で敵の守備陣を混乱させていた。中央のメリーノにパス。さらに外のバレネチェアがメリーノからのパスを受け、シュートフェイントから右足でゴールに突き刺した。

「Irrefrenable(制御できない」)

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は端的に久保のプレーを評価している。

「敵ディフェンスラインにとって、久保は悪夢そのものだった。典型的な『mosca cojonera(うっとうしいヤツ)』で、何度となくサイドでボールを引き出し、カットインする動きやギャップに入れるパスなどでいくつもチャンスを作った。先制点はバレネチェアへ見事なお膳立て。スピードが落ちず、足にボールが張りつくようなプレーで、それが彼を比類のない存在にさせている」

 前半30分、"久保番"だった左ウイングバックのフロレンティーノ・ルイスは、屈辱的な交代を命じられている。左の守備は完全に崩壊。前回の対戦でも、左サイドバックはチェコ代表ダビド・ユラーセクが翻弄され、スペイン代表ファン・ベルナトに代わっていたが、フォーメーションを変えても、人を変えても、久保を止めきれなかった。

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