久保建英は「試合の均衡を崩す。そこでの彼は無敵」ソシエダの伝説的MFがその資質を分析 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【ピッチの姿に自信が滲み出ている】

 ラ・レアルの伝説的MFは、久保について言葉を選びながら語っている。

「何度も言うけど、タケはコンプリートな選手だよ。スペースを占拠し、突破し、仕上げまでする。フィニッシュするプレーができることは一番大きいが、クロスもうまいし、とにかく攻撃のバリエーションが多い。相手と対峙し、勝負するという単純に対人での能力が高いのさ。だからこそ、たとえ相手が門を閉ざすように守ってきても、それを打ち壊すことができるんだ。

 最近はピッチに立った姿に、自信が滲み出ているね。これまではマジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェと所属し、アップダウンはあったけど、それは仕方ない。18歳でスペインにやってきて、とても若かったし、何もかも最初から全てうまくいくはずがないよ。それぞれのチームでやり方があるものだし、若手がそこでずっとベストを出し続けるのは簡単ではないんだ。個人的には、まだ若いのによくやっていると思っているよ。

 ラ・レアルではイマノル(・アルグアシル)監督にチャンスをもらって、所属するチームで自信を持ってプレーできるようになっている。その積み重ねによって、才能を爆発させたのだろう。若い選手には、時間が必要なんだよ。

 今の久保は、ラ・リーガでも一番、試合を決められる選手のひとりだろう。試合の均衡を崩す。そこでの彼は無敵だよ」

 アランブルは、世界最高のMFになったシャビ・アロンソからも尊敬を浴びていたように、人格者として有名である。自らは決して目立つことをしない。実はスペイン語のインタビューもほとんど受けず、プレーで自分を表現してきた。

「タケはスピードを操れる。それは強力な武器だろう。スピードのなかで見せられる技術が高い。その領域に入れる選手は少なくて、敵は当然ながら苦しむだろう。ボールを受け、崩しのドリブルに入り、コンビネーションにつなげ、ゴールに迫る。その作業におけるクオリティがすばらしいんだ。

 イマノルとの相性? これは一般論だけど、結局のところ、まずは選手がどれだけのプレーが出せるか、だと自分は思っている。その上で、監督からの信頼を得られるか。その関係が結果に結びつく。

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