三笘薫のドリブルがレベルアップ 欧州王者マンチェスター・シティ相手に実力を証明 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by COLORSPORT/AFLO

【三笘の活躍でブライトンのペースに】

 三笘も、負けるわけにいかないとばかりに見せ場を作る。12分、MFカルロス・バレバのパスを左サイドで受けると、縦突破を開始。ドリブルと切り返しで、フィル・フォーデン、ジョン・ストーンズ(ともにイングランド代表)を次々にかわしながら、ゴール前に進出した。得点こそならなかったが、これがマンチェスター・シティの紅白戦なら、その一員として十分にやっていけることを証明するようなアクションだった。

 もちろん、W杯でイングランド(前回ベスト8)と対戦した場合でも同じことだ。フォーデン、ストーンズに加え、この試合の後半、三笘はイングランド代表の右SBカイル・ウォーカーも鮮やかに抜き去っている。W杯の準々決勝以降の戦いでも十分活躍できそうな、ワールドクラスの選手であることを証明した。

 代表強化という視点に立っても意義深いプレーだった。マンチェスター・シティ戦に万全な状態で臨み、活躍することは、2026年6月から逆算すれば、カナダ戦、チュニジア戦で活躍することより、はるかにストーリー性の高い、貴重なエピソードになる。

 だが、三笘の活躍も束の間、ブライトンはパスミスをさらわれアーリング・ハーランド(ノルウェー代表)に追加点を許してしまう。さらにその4分後には、ドクにこの日4度目の縦突破を許していた。ブライトンはいいところなく前半を終えた。

 だが、ブライトンのロベルト・デ・ゼルビ監督は強気だった。当たり前のことだが、大敗を恐れ、守りを固めるような真似はしなかった。目には目をとばかり、怯まずに打って出た。

 今季のマンチェスター・シティは昨季ほどではないのか。それともブライトンが昨季以上に地力をつけているのか。

 後半、形勢は一変。ブライトンのパスワークをマンチェスター・シティが見入る恰好になった。「うまいサッカーをするチームはうまいサッカーをするチームに弱い」は、立場を入れ替えて証明されることになった。

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