久保建英の「均衡を崩す」プレーをソシエダのレジェンドが賞賛 元同僚で似ていた選手とは? (3ページ目)

  • 小宮良之●text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

【数字を出すことで次の選択肢も】

「トップ下でダビド・シルバの代わりはできないか?

 うーん、タケはできなくはないと思うよ。でも現状では、右サイドで生きるんじゃないかな。相手もかなり守りを固めてくるところで、サイドからのほうがスペースもうまく使える。先日の日本代表のドイツ戦もそうだったが、カウンターでも貢献できるのは大きいよね。今の彼はなかなか止められないし、まさに"プライムタイム"にあるんじゃないかな」

 今やレアル・マドリードのジュード・ベリンガムと比較されるようになった久保には、賞賛の言葉が降り注ぐ。「レアル・マドリードが買い戻す」という話も聞こえてくるが......。

「世間では、『将来は......』という話になるだろうけど、経験から言えば、その想定にはあまり意味がない。結局、サッカー選手は"数字"がすべて。タケはそれを誰よりもわかっている。数字を叩き出すことで、次の選択肢も出てくる。続けることができたら、世界的な選手になれるだろう。

 自分の場合、子どもの頃からラ・レアルでプレーするのが夢で、ひと筋の選手だった。これはハートの問題だよ。2部に落ちた時代もそれは変わらず、苦しんだけど幸せだった。ここで始まり、ここで終わることができてよかったと今でも思っているよ。

 だから、タケにもラ・レアルでできる限り長くプレーしてほしい。ただ、選手のキャリアは成長するなか、ほかの大きなクラブでプレーするという選択肢も考えられる。それに向き合うのはプロとして当然だよ。それだけのポテンシャルが彼にはあるんだ。

 その点、チャンピオンズリーグ出場は大きなチャンスだろう。自分も出場した経験から、かなり精神的に消耗するけど(ベスト16に進出するが、ラ・リーガでは低迷した)、今のチームなら戦えるはず。どんな強い相手に対しても完全にやられるほどの差は見せていないから、選手は楽しんで、夢を見て、競争に没頭してほしい。まずは決勝トーナメント進出が目標だろうけど、天井なんて設定はせずに」

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