久保建英は「本当に日本生まれなのか?」と地元サポーター スペイン人記者が歴史ある地元決戦での活躍を称賛 (2ページ目)

  • イケル・カスターニョ・カベージョ●文 text by Iker Castaño Cabello
  • 髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki

【バスクダービーの意義を理解】

 バスクダービーの前日、レアル・ソシエダのメディアがアルグアシル監督にその試合の重要性について質問すると、彼はきっぱりと答えた。

「たとえこの対戦が開幕戦であっても、絶対に勝たなければならない試合だ」

 それゆえ、特に新加入の選手たちにその重要性を内面から理解させるのが鍵となるが、昨年移籍してきた久保はすでにバスクダービーがどういうものか、両サポーターにとってどういう意味を持つのかを完璧に熟知している。彼は昨シーズン、初ダービーで臆することなくプレーして得点を決め、サポーターを魅了してみせた。

 ラ・レアルとアスレティックの哲学は同じではない。前者はカンテラ(育成組織)や自国の選手と外国人選手で成長することに賭け、後者はバスク出身の選手だけでチームを構成している。

 先週末や昨シーズンのダービーで、レアル・ソシエダは、試合に勝つためにはカンテラの選手以上のものがチームに必要であると改めて示した。今回の対戦で先発メンバーにはカンテラ出身選手が4人、他チームから加入したスペイン人選手が3人、そしてバスクダービーでは近年最多となる4人の外国人選手が名を連ねた。

 私は、久保のような外国人選手がスタメンにいることが、勝ち点3を得るための重要な要素だと考えている。なぜならその手の試合はクオリティーの差が勝敗を分けることになるためで、この日本人選手はそれを十分に備えているからだ。

 レアル・ソシエダは2010-11シーズンの1部復帰以降、アスレティックと公式戦で28回対戦してきた。そのうち27試合がラ・リーガ、1試合が2019-20シーズンの国王杯(コパ・デル・レイ)決勝で、通算成績は13勝7分8敗と大きく勝ち越している。

 ここ13年間のバスクダービーにおいて、外国人選手はあまり多く出場してきたわけではない。

 バスク地方の独特なダービーにおいて近年特に印象的な活躍を見せたのは、レアル・ソシエダのカンテラ出身で今や世界的スターにまで上り詰めているフランス人FWアントワーヌ・グリーズマンだ。バスクダービーでたびたびチームを勝利に導く活躍を見せ、4シーズンで8試合に出場し3得点を記録。今でもチュリウルディンのサポーターに特に愛されている選手のひとりである。

 ほかにバスクダービーで目立つ活躍をした外国人選手と言えば、いくつかの試合で勝利の鍵を握ったチリ人GKクラウディオ・ブラボとアルゼンチン人GKのヘロニモ・ルジ、永遠のライバルとの7シーズンに渡る対戦で3ゴールを決め、幾多のアシストを記録したメキシコ人FWカルロス・ベラ、4シーズン所属して2ゴールを挙げたスウェーデン人FWアレクサンデル・イサクなどを挙げることができる。

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