三笘薫が見せた「妖精のような動き」 途中出場2得点でブライトンを救う (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REX/AFLO

【悪い流れを断ち切れず後半から投入】

 三笘は休ませるべき選手だった。地元メディアは3日前に行なわれたAEK戦で、すでに三笘をベンチスタートと予想していた。その予想は外れることになったわけだが、結果的に試合にも敗れた。

 三笘はブライトンのアタッカー陣の中で出場時間が最も多い選手である。中心選手といっても過言ではない。その選手をあえて出場させた結果、試合に敗れた。失点シーンには三笘のミスも絡んでいた。デ・ゼルビ采配はどちらかと言えば失敗に終わっていた。というわけで、ボーンマス戦のスタメンに三笘の名前が見当たらないことにむしろ安堵したものである。その4-2-3-1の「3-1」には以下の4人が並んだ。

 エバン・ファーガソン(1トップ/アイルランド代表)、ダニー・ウェルベック(1トップ下/元イングランド代表)、サイモン・アディングラ(左/コートジボワール代表)、ファクンド・ボオナノッテ(右/アルゼンチン代表)。

 しかし、世の中はうまくいかないものだ。前半25分、ブライトンはGKバート・フェルブルッヘン(オランダU-21代表)が、迂闊にもボールをさらわれ失点を許す。前半の追加タイムに相手のオウンゴールで同点とするも、気品溢れるパス回しをベースにした、持ち前の攻撃的サッカーを披露することはできずにいた。AEK戦から続く悪い流れを断ち切れていない様子だった。三笘が後半の頭から投入された理由である。
 
ボーンマス戦に後半から出場、2得点をあげた三笘薫(ブライトン)ボーンマス戦に後半から出場、2得点をあげた三笘薫(ブライトン)この記事に関連する写真を見る それにしても三笘は胸のすくような動きをする。水面をスイスイと移動するアメンボのようにピッチを軽く、滑るように動く。メルヘンチックに言えば妖精のようだ。「ピクシー」と言えばドラガン・ストイコビッチの愛称として知られるが、変幻自在なドリブルで相手を陥れる三笘のほうがイメージ的に近いのではないか。そんな思いに浸っているうちに、三笘は登場するや、さっさとゴールを決めてしまった。

 相手ボールで始まった後半。キックオフから2本目のパスを、三笘とともに後半頭から出場したアンス・ファティが引っかける。相手の右CBイリア・ザバルニー(ウクライナ代表)が、ヘディングで押し返したボールを拾ったのが三笘で、スイスイとした快活なドリブルで前進するや、左に開いたアンス・ファティにパスを送り、自らはまさに妖精が乗り移ったかのように中央に走り込んだ。

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