第二次森保ジャパンの有望株・中村敬斗が示したオーストリアからの出世街道 これに続く選手はいるか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 そう語る中村が、リンツでの経験を振り返る。

「オーストリアリーグは技術っていうより、球際とインテンシティがメインの特徴だと思っていて。今、5大リーグのひとつであるフランスで4試合(取材時点)に出てみても、そういった部分ではフランスと遜色がないかなと思います」

「もちろん、(オーストリアリーグに比べて)個人のレベルも、チームのレベルも上がった」と中村。フランスでの現状を、「身体能力が高い選手も多いし、例えば、僕が1対1で仕掛ける時の守備の対応もレベルが高い。もう一個ステップアップしたんだなと感じています」と話すが、それもオーストリアでの経験があればこそ、だろう。

 中村が続ける。

「そういう(球際やインテンシティの)ところに大きな差はないと思っているので、(フランスに来ても)面食らうとかは特になかった。うまく順応していけると思います」

 そんなオーストリアには現在、日本代表の上昇株に続けとばかり、研鑽を積む20歳のFWもいる。

 オーストリア2部のザンクト・ペルテンに所属する、二田理央(にった・りお)である。

 一昨季、サガン鳥栖からヴァッカー・インスブルックⅡ(オーストリア)に期限付き移籍した二田は、今季が渡欧3シーズン目。主に3部リーグでプレーした一昨季を経て、ザンクト・ペルテンへ期限付き移籍した昨季は、2部リーグへとステップアップしたにもかかわらず、肩のケガで長期離脱を強いられた。

 それだけに、今季は鳥栖から完全移籍となったこともあり、「本当に大事なシーズンになる」と二田。強い決意を裏づけるように開幕戦でいきなりゴールを決め、その後もコンスタントに試合出場を重ねている。

 今季の二田は、いわゆる"シャドー"のポジションで主にプレー。もともと最前線で点取り屋を務めてきただけに「相手の最終ラインと駆け引きしようとしたり、"FWっぽい動き"をしちゃって、監督から『そこじゃない!』って指示されることが多い」という。

 だが、「(1列下のシャドーとして)ライン間でボールを受けられるようになれば、FWに戻った時もプレーの幅が広がると思うし、今はミスしたとしてもそれをプラスにとらえて、どんどんチャレンジしていかなきゃいけない」と、前向きに自身の成長を見据える。

「まだまだ全然足りない部分のほうが多いんですけど、以前の自分だったら 、ひとつ何かできないことがあるとズルズル引きずって、他のこともできなくなっちゃうことがあった。でも今は、ミスをしてもすぐに切り替えて、次はいいプレーができる。メンタルのコントロールも徐々にできるようになってきたかなと思います」

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