久保建英、レアルに逆転負けも現地紙は激賞「スーパーゲームを演じた世界レベルのスター」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

【最後は戦力差に屈したが...】

 29分、アマリ・トラオレからのパスの勢いを利用するように、久保は前に出るトラップだけで名手トニ・クロースと入れ替わる。そしてドリブルで加速すると、中に切り込み、やはりファーポストを狙う。GKの必死のセービングに阻まれたが、もはや圧巻だった。

 勢いは止まらない。

 その直後にも、久保は右サイドでほとんどのコースを消される一方、確信を持ってタイミングを測る。そして一瞬できたコースに、左足でボールを中に入れている。そこにミケル・メリーノが体ごと飛び込んで、ヘディングで決定的なシーンを作っている。

 その後、中盤ではオーレリアン・チュアメニが苛立ったように潰しに来た。すると、久保はこれを予測して逆手に取っている。イエローカードを誘い、相手の守備を制限した。

「なんて久保はすばらしいんだ!」

 ラジオの実況が、信じられないという様子で騒いでいる。前半、"ピッチの王"にふさわしいのは久保だったと言える。世界的スターが勢揃いしたレアル・マドリードの選手をも上回ったのである。

 久保は味方が苦しむと、そこで反発力を絞り出すように好機を作った。そのパーソナリティこそ、彼を別格の存在にしているのだろう。トッププレーヤーの気骨と言うのだろうか。

「ラ・レアルの選手の誰もが、久保にボールを集める、という意識を持っていた。前半の久保は、とにかく止められない選手だった」

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』はそう記し、激賞している。

 後半、レアル・マドリードが挽回したことで、久保は前半のような天衣無縫のプレーはできなくなった。左サイドバックのフラン・ガルシアが食いつかずに立ちはだかり、クロースが中に入ってくるスペースを埋めたことで、久保はボールを下げる機会が多くなる。そしてフェデリコ・バルベルデに火を吹くような一撃を決められて、2-1と逆転されてしまった。

 ただし、久保は劣勢になっても、勝負どころでは逞しさを見せている。ドリブルで脅かし、フラン・ガルシアのイエローを誘発した。すぐ後にフラン・ガルシアの代わりにナチョが投入され、最後はレアル・マドリードとの戦力差に屈した格好となったが......。

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