遠藤航はリバプールで何をすべきか 出場機会増のために必要なこと (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

【お手本となるミルナー】

 シュツットガルト時代の遠藤は、アンカー(守備的MF)に加え、インサイドハーフもこなしていた。日本代表でのポジションより若干高めで、かつ多機能的にプレーした。出場機会の増大を狙うなら、リバプールでもこの方向性を維持したい。ボール奪取のみならず、展開にも絡みたい。

 30歳の遠藤にとって参考にすべきは、29歳でリバプール入りし、37歳まで8シーズン在籍したミルナーだ。今季ブライトンで右SBとしてプレーする姿を見てなおさらそう思った。

 守備的MF兼右SB。遠藤もその昔、このスタイルだった。森保ジャパンでも、2019年のアジアカップで右SBとしてプレーしている。マンチェスター・シティに落とし込めばジョン・ストーンズである。

 森保一監督には、かつて自身が振った采配を思い出してほしいものである。遠藤に、右SB兼守備的MFの先駆者であるフィリップ・ラーム(元ドイツ代表)役をやらせてみたい。2014年ブラジルW杯では、ラームは最初の4試合は守備的MFで、最後の3試合は右SBとして先発。試合のなかでもポジションを微妙に変えながら戦略的にプレーした。

 発案者はもちろん元バイエルン監督のジョゼップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)である。ドイツ代表のヨアヒム・レーヴ監督がこのバイエルンのやり方を真似たのだ。クロップ監督がライバル関係にあるグアルディオラ監督の真似を簡単にするとは思えない。だが、遠藤の兼SBとしての過去を知っていれば話は別だ。知らないならば、教えたくなるほどである。遠藤も自らアピールするべきである。

 リバプールは昨季のプレミアで5位だったため、今季のCLには出場しない。ELへの出場になるが、近い将来、日本人選手がまだ経験していないCL決勝の舞台に立ってほしい。現状では遠藤が日本人のなかで最も可能性を秘めた選手になる。期待したい。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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