遠藤航のリバプール移籍に福田正博が感心 「ビッグクラブへの移籍を見据え、しっかり準備できていたのがすごい」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【プレミアの舞台でどうやってボールを奪うか】

 プレー面でリバプールでの遠藤に期待しているのは、デュエルのところだ。遠藤がブンデスリーガで活躍する以前、日本人選手はデュエルに弱いと言われてきたが、その評価を覆したのが遠藤だった。彼が球際での強さを発揮したことに触発され、ほかの日本人選手たちも力強くなった。

 その部分が、プレミアリーグでどうなるかは気になっている。ブンデスリーガのフィジカル強度が低いわけではないが、プレミアリーグはさらにその上を行く。その舞台で178cmと決して大きくはない遠藤が、どうやって相手ボールを奪うのか。

 彼がプレミアリーグのレベルでも存在感を発揮できれば、日本代表はさらにスケールアップするはずだ。同じプレミアリーグのブライトンで輝きを放つ三笘薫、スペインのレアル・ソシエダで躍動する久保建英がいて、遠藤もさらなる飛躍を遂げれば、3年後のワールドカップへの期待は膨らむばかりだ。

 そのためにも遠藤はプレミアリーグのリーグ戦でポジションをつかむ必要がある。クロップ監督の傾向として、新戦力を獲得してもすぐに先発で起用することは少なく、時間をかけながらチームや戦術に慣らしていく。南野拓実の時もそうだったし、攻撃的なポジションに比べて、守備的な選手はなおさら顕著だ。

 しかし、こうした前例はあくまで新戦力が若い場合のことが多い。つまり、30歳で経験を買われて獲得した遠藤の場合、そこまで時間的猶予は与えられないかもしれない。

 前節は中盤のアレクシス・マック・アリスターが退場したことで、出場の機会が巡ってきた。ただ、この退場処分が取り消しとなり、マック・アリスターは次節以降も出場可能となった。9月の日本代表戦の前に、8月27日にニューカッスル戦、9月3日にアストン・ビラ戦と2試合あるが、ここで出場機会を得られるか。

 チャンスの数は限られているだろうが、出場機会が来たら遠藤にはしっかりと存在感を発揮してもらいたい。それが可能なほど、遠藤には追い風が吹いているし、しっかり遠藤ならその風をつかまえてくれると信じている。

福田正博 
ふくだ・まさひろ/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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