鎌田大地が得たチームメイトからの信頼 ラツィオ番記者が明かす開幕直前の日々 (2ページ目)

  • フランチェスコ・ピエトレッラ●文 text by Francesco Pietrella
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【「我々を助けてくれるはずだ】

 8月20日、ラツィオはまずアウェーのレッチェのスタジオ・ロベルト・ダヴェルサで開幕戦を迎える。レッチェは若い選手の多い難しいチームだ。鎌田が使われるのはまず間違いないだろう。なにしろクラウディオ・ロティート会長とサッリは何がなんでも彼をほしがったのだ。会長が初めて鎌田の名前をサッリに語った時、監督は即座にこう答えたという。

「すぐに獲りましょう」

 この夏、多くのチームが鎌田をほしがっていた。ミランはもちろんのこと、ローマもインテルもそうだ。彼はフランクフルトでプレーし、多くのゴールを決め、2022年にはヨーロッパリーグ(EL)で優勝もしている。今シーズン、ラツィオはチャンピオンズリーグ(CL)でプレーする。そのため多い時には週に3試合もこなさなければいけない。鎌田はスペクタクルで見ごたえのあるプレーを目指す「サッリズム」の鍵となるだろう。

 鎌田はまた、8年間にわたりラツィオの中心であり、サポーターのアイドルだったセルゲイ・ミリンコヴィッチ・サヴィッチの後継者として選ばれている。ミリンコヴィッチはその喜びようや中盤での存在感から「軍曹」というニックネームで呼ばれていた。彼の代わりは誰も務められない。皆がそう思っていた。

 しかし鎌田はすでに彼のやり方で、人々を納得させ始めている。センターバックのニコロ・カサーレはすぐにこう彼を称賛した。

「一度、一緒に練習しただけで、彼がどんな選手かはよくわかった。彼はサイドハーフで、守備に手を貸し、プレーのビジョンもはっきりしている。そしてチャンスがくれば躊躇なく前に飛び出していく態度は好きだね」

 同じく主力のフェリペ・アンデルソンはこう言っていた。

「強くやる気に満ちた選手だ。我々を大いに助けてくれるはずだ」

 彼はすでにチームメイトらの信頼を獲得しつつある。

 鎌田のほかにラツィオはFWのバレンティン・カステジャーノス、MFニコロ・ロヴェッラ、SBルカ・ペッレグリーニ、FWグスタフ・イサクセンも獲得した。カステジャーノスは昨シーズン、ジローナではなんとレアル・マドリード相手に1試合で4ゴールを挙げているし、ミッティランにいたイサクセンはドリブルが得意。ラツィオは昨シーズン、彼にELでゴールを決められており、それが今回の移籍につながった。

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